円滑にMR活動を進めるとき、欠かせない存在として他社MRがあります。あなたがMRとして営業活動をするとき、自分の会社にいるよりも担当の活動エリアにいる時間の方が圧倒的に多いです。会社には顔を出さず、常に自宅から直行直帰で担当先を回ることになる場合も珍しくありません。
そうしたとき、自社MRよりも他社MRとの関係の方が重要になります。実際、自分の会社に属するMRよりも、他社MRと顔を合わせる機会の方が多くなります。
営業成績の優れている人であるほど、他社MRと良好な関係を保っています。エリア内で孤立すると良い結果が生まれないため、他の製薬会社MRとも上手に付き合っていく必要があります。
最初は全員にあいさつするべき
新人MRであってもベテランMRであっても、赴任地ではすべての他社MRに対してあいさつをするようにしましょう。例えば医薬品卸などでは朝に多くのMRが集まるため、そのときに一気にあいさつできます。
競合メーカーについても、新人MRやベテランMRに限らずあいさつするといいです。
MR業界の特徴として、他社MR同士の仲が非常に良いということがあります。競合品がないという条件はありますが、競合品がほとんどない製薬会社は意外と多いです。そのため、利害関係なしで同じエリアを担当している他のMRと仲良くなれます。
MRである以上、「医師とのアポイントを取れない」「訪問規制が厳しい」「新規採用に至らない」など全員が同じ悩みを抱えています。他社MRとは、そうした悩みを共有できる存在でといえます。
他社MRに得意先の情報を教えてもらう
ただ、他の製薬会社のMR同士で「MRという仕事を行う大変さ」を分かち合っている状況は、単なるなれ合いだといえます。そうした関係は好ましくありません。
そうではなく、他社MRと積極的に交流することであなたの数字(ノルマ)を達成できるように助けてもらうことを考えましょう。
優秀なMRであるほど、他人の力を借ります。他人とは、自分の会社だけでなく他の会社の人間も含みます。一方でダメMRであるほど、自分の力だけで何とかしようと考えます。
それでは、他社MRの力を借りるとはいっても具体的に何をするのかというと、得意先の情報を教えてもらいましょう。
前任者からの引継ぎで「得意先ごとのルール」「どのように営業をすればいいのか」などを教えてもらったと思います。ただ、これだけでは不十分です。前任者がその地域の医師から絶大な信頼を得ており、そのノウハウをすべて叩き込まれたのであれば問題ありませんが、少ない引継ぎの時間でそれらをすべて吸収するのは不可能です。
そこで、優れた営業成績を残すためには「あなたの担当エリアで何年もMR活動を実践している他社の先輩MRから情報を仕入れ、ノウハウをより精度の高いものにしていく」という過程が必須です。
例えば、「あの病院のA先生は水曜日の15:00しか会えないことになっているが、実はいきつけの居酒屋があり、そこに行けば高確率で会える」「B先生は3歳になる娘がいて、その娘を褒めると非常に機嫌がよくなる」などです。
その人だけがもっている独自の情報はたくさんあります。前任者からの引継ぎ情報だけでは不十分であり、他社MRを活用し、実際に自分が見たり聞いたりした情報を繋ぎ合わせなければいけません。
もちろん、他社MRに情報を教えてもらうとはいっても簡単には教えてくれません。有益な情報が他にも漏れてしまった場合、情報を教えた側としてはデメリットしかないからです。
しかし、できるだけ早く他社MRと信頼関係を築き、友達として接することができれば良い情報を教えてくれるようになるはずです。もちろん、相手が困ったときは助けてあげることを忘れてはいけません。
したがって、情報交換の場も必要となるでしょう。例えば、医師に接待をするのは禁止されていても、他社MRと飲みにいくのはまったく問題ありません。
他社MRに同行する
他の製薬会社MRと仲良くするメリットは、単に有益な情報を教えてもらうことに限りません。その人が担当エリアでこれまで築いてきた人脈やリソースを活用できるようになります。
例えばスポーツであれば、医師とのゴルフは禁止されていたとしても、テニスやマラソンなど他のスポーツは禁止されていません。そもそも、すべてを禁止するのは無理な話です。そのためマラソン大会へ出場したとき、「たまたま」医師と会って一緒に走ることはよくあります。
テニスにしても、社会人クラブとして活動しているサークルに出向いてみたところ、「たまたま」担当エリアの医師と会って一緒にテニスをすることは珍しくありません。
別にスポーツに限りません。これが音楽活動でもいいし、フェスなどのイベントごとでも問題ありません。いずれにしても、プライベートの時間に医師とMRがたまたま会うことまでは禁止されていません。
これらまで禁止されると、「MRはすべての趣味をやめなければいけない」という変な理論になってしまいます。要は、ある程度のルールさえ守ればプライベートで医師と会うのはまったく問題ありません。
多くのMRにとって、医師と会うのは難しいです。ただ、例えばその医師がテニスをするのが大好きな場合、テニスに誘うのは意外と簡単であることが多いです。
しかし、信頼関係のできていない状況でいきなり医師の先生を誘えませんし、そもそも最初は担当医師の趣味を把握できていません。そこで、他社MRを頼ってみましょう。
できるMRであるほど、医師の趣味に合わせてプライベートの時間を一緒に過ごしています。一緒に社会人テニスクラブで練習したり、バンド活動をしていたりするのです。
このとき、他社MRに頼んでそうした会に顔を出せないかお願いしてみるといいです。こうした他社MRのリソースを活用すれば、普通では会えない先生と問題なく会うことができ、素早く人間関係を構築できることはよくあります。
トップMRからノウハウを盗む
また、最も重要なこととして「他社のトップMRから営業ノウハウをできる限り盗む」ということがあります。これを実行しない限り、営業成績が向上することはありません。
あなたの担当エリアを見渡してみると、医師や薬剤師から絶大な信頼を得ることに成功していたり、社長賞を含め社内で大きな成果を残していたりするMRがいるはずです。どれだけ田舎のエリアを担当していたとしても、そういう他社MRは必ず存在します。
競合品の多いライバル会社のMRであれば難しいですが、そうでない場合は何とかして他社のトップMRに気に入ってもらえるように努力しましょう。また、同時に飲みの席など何でもいいのでその人から営業ノウハウを盗み取るようにしましょう。
MRとしてトップ成績を残している事実があるのだとすれば、当然ながら「その人だけが知る営業の極意」が存在することを意味しています。
優れた業績評価を残せる人であるほど、トップMRの行動を真似します。言ってしまえば、どのように行動すれば数値(ノルマ)を達成できるのかについて、トップの人からカンニングをしているといえます。
学校のテストなどではカンニングをしてはいけません。ただ、営業の場ではカンニングをする人の方が優れた成績を残すことができるのです。私もこれまで、社長賞を何度も取った他社MRや達成率で社内1位に輝いたMRなど、多くの人から学ばせてもらいました。
以下の例はトップ成績を残した先輩MRから学び、実行してみたら大きな成果につながったことの一部です。
- 病院で突っ立っているのはダメで、病院内を歩き回ると先生と会える確率が上がる
- 院内や先生の机の上や周辺を観察すれば、雑談のネタがたくさん転がっている
- 自社製品(薬)の説明をすべてやめ、医師の手助けだけを考えると結果として営業成績が上がる
例えば、多くのMRは薬の説明をすることばかりを考えています。MRは薬を売る仕事だと思われているため、これは仕方のないことです。ただ、医師にとってみれば、自社製品の話しかしないMRとの会話は無駄だといえます。
そうではなく、「先生が学会へ出席するとき、文献作成の補助を含めたサポートをする」「治療に苦労している患者さんがいることを知り、他社製品を含めて治療法を提案する」など、医師側のメリットを考えた情報提供が必要です。MRの都合(=薬を採用してもらい、処方数を上げたい)ばかりを押し付けても営業成績は上がらないのです。
私は他社のトップMRから営業マンとして重要なことを教えてもらい、実際に行動することで自分自身の営業成績も格段に向上させることができたというわけです。
もちろん、トップMRの人たちに「なぜ営業成績が優れているのか」をダイレクトに聞いたとしても、本人でさえもその理由を分かっていないことがあります。そこで、その人たちが「何を考えて、そのような行動を実践しているのか」に着目してみましょう。
例えば私が気づいたことの一つとしては、全員が「医師に感謝されるにはどうすればいいのか」に着目して営業活動を実践していることがあげられます。これを理解すれば、少なくとも自社商品のアピールばかりをする営業活動は行わなくなるはずです。
得意先で仲良く談笑するのは注意すべき
ただ、他社MRと仲良くすることに注意すべきことがあります。それは、得意先で談笑してしまうことです。
よく、病院内などで医師を待っているとき、MR同士で会話をしてしまうことがあります。ただ、こうした談笑が必要かというと、どう考えても必要ありません。
MRの行動は多くの人に見られています。医師や薬剤師、看護師、さらには患者さんなど多くの人にMR同士が会話している姿を目撃され、結果として悪い印象を抱かせてしまいます。
病院やクリニックは患者さんのための場所です。スーツを着たMRが楽しく談笑する場ではありません。特に仲良くなった同世代のMR同士で起こりやすいミスですが、得意先で仲良く会話するのは、やめるようにしましょう。
また、場合によっては他社MRや医薬品卸MSと協力して医師にアプローチすることがあるかもしれません。そうしたとき、医師を待っているときに「どのような戦略で医師にアプローチするのか」に関する会話をすることがあると思います。ただ、その場合であっても院内で会話をするのはマナー違反です。
そもそも、そうした話は院内で行うことではありません。医薬品卸の営業所(デポ)やどこかのカフェなど、得意先の目が届かない場所で話をあらかじめ詰めておくべきだといえます。少なくとも、得意先の中で無駄話をするのは意識してやめるようにするといいです。
ここまで、他社MRとどのように付き合っていけばいいのかについて確認してきました。競合品がない場合、あなたから積極的に声をかけて他社MRと仲良くするようにしましょう。
他の製薬会社MRと仲良くなることで、多くのメリットが生まれます。その反対にデメリットはほとんどありません。そうしたことを考えると、できるだけ多くの他社MRと良好な関係を築き、協力してもらうことであなた自身の営業成績を向上させるようにしましょう。
MRが転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人で求人活動を進めた場合、頑張っても1~2社へのアプローチに終わってしまいます。さらに、自分だけで労働条件や年収、勤務地の交渉まで行わなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに依頼すれば、これまでの企業とのつながりから最適の求人を選択できるだけでなく、あなたに代わって年収や福利厚生を含めてすべての交渉を行ってくれます。
特に製薬業界の場合、情報を表に出せないので非公開求人となっていることがほとんどです。そのため、MRの転職では転職サイトの活用が必須です。
ただ、転職サイトによって「外資系に強い」「中小の求人が多い」など特徴が異なり、保有している会社の求人が違ってきます。そのため複数の転職サイトを利用する必要があります。
以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれ転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができるようになります。
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