未経験からMRの求人を探して転職を目指したり、現役MRがMRとしてのキャリアプランを大幅に見直したりするとき、ほとんどのケースでコントラクトMRを目指すことになります。コントラクトMRは製薬会社へ派遣されて商品を売るMRのことを指します。
ただ、派遣というと将来性がないように感じますし、MRで特徴的な高年収を実現できるのか疑問に思ってしまいます。しかし、これについてはキャリアプランを練っておけば、高給料の実現や大量にある自由な時間を含め、コントラクトMRの未来は明るくなります。
派遣なのでリストラ(クビ)があるのか心配する人もいますが、正社員と同じなのでそのようなこともありません。使い捨てのようなことはなく、職業自体は非常に安定しています。
MRにとって、コントラクトMRは転職時に選択する確率の高い職種の一つです。そこで、コントラクトMRが高年収を実現し、将来性のあるMRとして今後も活躍するための秘訣について解説していきます。
もくじ
コントラクトMRの給料はどれくらいか
営業職の中で転職する人は多いですが、私の感想としては「MRはあらゆる営業職の最終到着地点」のように思います。つまり、新卒であれ中途入社であれ、MRとして働く人間は将来もずっとMRで働いている確率が非常に高いのです。
世間一般的には、「MRは医師の相手ばかりで労働環境がきつい」などのイメージがあります。ただ、他の営業マンを見ていると、医薬品業界はなんと楽で給料が高いのだろうと思うことが多々あります。
非常に年収が高いですし、いまは接待などが禁止されているので毎日の飲みはありません。私はゴルフをしていませんし、有給休暇はいつでも取得できます。もちろん営業職なので数字に追われるものの、これはどの営業職でも同様です。
高年収を実現できるのは、コントラクトMRであっても同じです。製薬会社へMRを派遣する会社をCSOといいますが、CSOのMR(コントラクトMR)でもほかの業界に比べると給料は非常に高いです。
MR未経験の求人であっても月給30万円ほどですし、これに営業手当などがつきます。また、実際に働くときは大手CSOへ転職する人がほとんどですが、平均年収は500~700万円ほどになります。早いうちに年収500万円を超えることができるため、給料は非常に高いです。
キャリアプランを見直し、評判の高いCSOへ転職する人は多い
もちろん、福利厚生などは製薬メーカーMRとは異なり、多少劣る部分があります。そのため、メーカーMRに留まる人は多いです。
ただ、製薬メーカーMRであっても評判の高いCSOへ転職する人はたくさんいます。中小の製薬会社であると、新薬がほとんどなく何十年も同じ薬の宣伝ばかりしているのは普通です。そのため経験を積むことができず、知識の広がりがありません。
一方でコントラクトMRは多くのプロジェクトを経験でき、さまざまな薬に携わることになります。経験できることは多く、中小製薬企業のMRとして働くよりも未来があります。
このように、キャリアプランの見直しとしてCSOを活用する人はたくさんいます。メーカーMRではどうしても道が限られてしまうため、コントラクトMRを目指すことで軌道修正し、自分の未来をよりよくするのです。
どのような人がコントラクトMRを目指すのかというと、例えば以下のようなケースがあります。
未経験からMRを目指す
年収が非常に高く、休みの取得などの自由度も優れてことから、ずっとMRとして働く人は多いです。実際、私の周囲にも高齢MRが何人も働いています。
そのため、営業経験のある人であればコントラクトMRを目指すといいです。MR未経験の人であってもコントラクトMRの求人を見つけて早めに転職しておけば、それだけ多くのMR経験を積めるようになり、高年収を実現できます。
営業経験さえあれば問題なく、このときは外回りだけでなく「アパレルの店長をしていた」「ホストで活躍していた」などでも大丈夫です。接客経験があることがコントラクトMRで重要になります。そのため、MS(医薬品卸の営業)の中にもコントラクトMRを目指す人が多いです。
ジェネリックメーカーMRから新薬メーカーMRを目指す
ジェネリック医薬品会社もMRを保有しています。ただ、先発医薬品の売り方とジェネリック医薬品の売り方は大きく異なります。そのため、ジェネリックメーカーで働いているMRは転職で新薬メーカーMRを目指すことは困難です。
そこで、新薬メーカーのMRを目指すため、まずは新薬の販売を経験するためにコントラクトMRを目指します。コントラクトMRを経験した後であれば、新薬販売の経験があるので問題なく新薬メーカーMRとして転職できます。
自分のキャリアプランを見つめなおし、「ジェネリックメーカーMR → コントラクトMR → 新薬メーカーMR」という将来を描くことで、大幅な年収増を実現できます。
もちろん、ジェネリックメーカーMRからコントラクトMRへ転職するだけでも給料アップになることがあるため、自分の置かれている現状を見つめなおして新薬を取り扱うコントラクトMRを目指すのです。
オンコロジーMRを目指す
がん領域のことをオンコロジーといいますが、オンコロジーMRを目指すために新薬メーカーMRからコントラクトMRへ転職する人も多いです。
MRには専門領域があり、「糖尿病専門」「免疫領域専門」「呼吸器専門」などがあるのです。こうした領域からオンコロジーMRへ変わることはほぼありません。ただ、それでは未来が限られてくるのでコントラクトMRを経験することでがん領域を担当するのです。
例えば、以下は実際にCSOから出されたオンコロジーMRの求人です。
CSOでオンコロジーMRの経験があれば、新薬メーカーのオンコロジーMRを目指すことができます。がん領域のMRは貴重であり、オンコロジーMRであるとさらなる高年収を実現できます。
本社マネジメント業務を目指す
MRとして活躍する中で「このままずっとMRでもいいのか」と疑問に思う人がいるのも事実です。そうしたとき、管理職や本社業務を考える人が多いです。
新薬メーカーで本社業務ができる人間は限られており、ごく一部の人だけです。基本的にMRの人はずっとMRを続けることになります。
一方でCSOであると、多くの本社マネジメント業務が存在します。MRの派遣だけでなくCRA(治験業務の派遣)をしていたり、転職斡旋をしていたり、会社業務の一つに「MRの派遣業務」があるだけにすぎません。
MR業務以外がたくさん存在するからこそ、本社マネジメントを目指す人にとってCSOは最適です。
勤務地限定を目指す
新薬メーカーでは全国転勤が必須であり、これに抵抗することはできません。そこで、勤務地限定を目指す人は多いです。
勤務地限定を実現できる唯一の職種がコントラクトMRです。20代前半やMR未経験のうちから勤務地限定は不可能です。ただ、それなりの経験や実績がある場合、そこまで年収を落とさずに勤務地限定を実現できます。
家族をもつ人では勤務地限定を希望する人が多いため、これについても自分のキャリアプランや将来を見つめなおした結果の転職となります。
コントラクトMRの将来性は大きく、クビやリストラはない
自分のキャリアプランを見つめなおし、コントラクトMRの特徴をうまく活用すればMRとして働く将来性は非常に大きいです。コントラクトMRというだけでもその他の営業職より年収が高いですし、新薬メーカーMRへ転職すればさらなる高給料を実現できます。
現在ではオンコロジーやバイオ医薬品など専門性が求められており、これについても問題なく経験を積めます。2~3年などプロジェクトごとに説明する薬が変わるので勉強は大変になるものの、それだけ多くの経験ができるのはコントラクトMRならではといえます。
また、勘違いする人は多いのですが、派遣とはいっても「CSO企業の正社員として所属し、製薬メーカーへ派遣される」という形になるため、世間一般的な派遣社員ではなく正社員となります。
正社員である以上、無理なリストラ・クビはありません。もちろん、中には高齢でコントラクトMRへ転職した場合、契約社員となるケースもあります。CSOと契約を結んでいるだけのため、この場合は確かにクビが存在します。
また、リストラではなくてもコントラクトMRではリプレイスが存在します。リプレイスとは、「契約途中での解除(途中離脱)」になります。大型得意先の出入り禁止を食らうなど、営業成績が思わしくなかった場合はリプレイスとなります。
ただ、リプレイスとはいってもリストラに遭って無職になったわけではありません。正社員であるため、給料は保障されています。その点、一般的な派遣社員とは違って高給料を実現でき、さらには正社員としての待遇なので、途中離脱があるとはいってもコントラクトMRは恵まれているといえます。
CSOが使い捨てをすることは今後もない
そもそも、一般的な派遣社員と違ってCSO会社が自社に所属するコントラクトMRを使い捨てのように扱うことはありません。
MRは非常に専門性が高く、一人前になるためにはかなりの医学的な勉強が必要になります。つまり、年数をかけて育てていかなければいけません。
それにも関わらず給料が高いです。また、多くの人は転職エージェントを活用して転職しますが、このときCSO会社が転職エージェントに支払うフィーは「一人の転職にうち100万円以上」となります。
これだけのお金を支払って正社員を雇うため、使い捨てするようなことはありません。また、CSO会社は基本的にどこも大企業です。大手製薬会社に比べると小さめの会社にはなりますが、世間一般的な会社規模でいうと非常に大きいです。
派遣の使い捨てというのは、中小のシステム開発会社などで起こります。大企業の中でも、規制の厳しい製薬会社で使い捨てが起こることは稀であるため、よほど変なことをしない限りはコントラクトMRとしての将来性は保障されているといえます。
CSO会社によって雇用形態はさまざま
ただ、いくらCSOへの入社が正社員で雇用が安定しているとはいっても、会社によって規定が異なるのでこれを確認しなければいけません。
例えば、コントラクトMRで入社する場合は原則としてすべて契約社員というCSO会社があります。この場合は通常の派遣と同じであり、雇用は不安定です。ただ、次のステップとして新薬メーカーを目指している場合、むしろ契約社員のほうがしがらみがなく転職がスムーズです。
また、40代までは正社員であるものの、それ以降は自動的に正社員から契約社員に切り替えられるというCSO会社も存在します。この場合、将来もコントラクトMRとして働くことを考えている人にとっては雇用が不安定になり、自分の将来が不安になってしまいます。
もちろん、ずっと正社員として働けるCSO会社も存在します。コントラクトMRとして活躍するとはいっても、CSOごとに雇用形態がバラバラなので求人内容だけでなく会社の特徴を踏まえて転職活動をするといいです。
キャリアプランの見つめ直しにコントラクトMRは最適
営業経験はあるがMR未経験であったり、既にMRとしては働いているが他のMRを目指したかったりするとき、コントラクトMRは評判が高く最適だといえます。
「未経験からでも求人へ応募できる」「現職がジェネリックメーカーMRでも新薬経験ができる」「オンコロジーMRとして活躍するステップになる」など、人によって目指すキャリアプランは異なりますが、自分の未来を切り開くときにコントラクトMRは最も適した舞台だといえます。
それでいてCSOの正社員なのでリストラ(クビ)になることはなく、高い給料を実現できます。途中解約であるリプレイスになったとしても、正社員なので雇用は保障されています。派遣ではあっても、使い捨てはありません。
ただ、反対に明確なキャリアプランを描けていない場合、コントラクトMRとして働く意味はないといえます。
コントラクトMRは多くのことを経験できて将来性に優れているからこそ、「コントラクトMRとして何を実現したいのか」をよく考えてみてください。そうすれば、たとえMR未経験の状態であっても問題なく中途採用での転職活動で内定をもらえるようになります。
MRが転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人で求人活動を進めた場合、頑張っても1~2社へのアプローチに終わってしまいます。さらに、自分だけで労働条件や年収、勤務地の交渉まで行わなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに依頼すれば、これまでの企業とのつながりから最適の求人を選択できるだけでなく、あなたに代わって年収や福利厚生を含めてすべての交渉を行ってくれます。
特に製薬業界の場合、情報を表に出せないので非公開求人となっていることがほとんどです。そのため、MRの転職では転職サイトの活用が必須です。
ただ、転職サイトによって「外資系に強い」「中小の求人が多い」など特徴が異なり、保有している会社の求人が違ってきます。そのため複数の転職サイトを利用する必要があります。
以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれ転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができるようになります。
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