中途採用での転職を考えるとき、製薬業界を目指す人は多いです。その中でもMRは人気職種の一つです。営業職の中でも、MRは非常に年収が高く有給休暇を取得しやすいという特徴があります。

ただ、転職のときに足かせになるものとして学歴があります。転職時には「大学以上の学歴がなければいけない」と明記されているものがあります。

それでは、MRとして製薬会社へ転職するときはどうなのでしょうか。ここでは、高卒や専門卒の人が未経験で製薬会社のMRへ転職できるのかについて確認していきます。

MRの求人には「大卒以上」と明記されている

結論からいうと、高卒や専門卒の人は製薬会社のMRとして転職することはできません。製薬会社が出しているMRの求人には「大卒以上」と明記されているからです。

例えば、以下は外資系製薬会社から出されたMRの中途採用求人ですが、募集には「大学院、大学卒以上」と明記されています。つまり、4年制の大学以上の出身者でなければ受け付けてくれません。

今回は経験者MRでの応募を例に記しましたが、未経験でMRを目指すときも同様だと考えましょう。

ちなみにMR未経験の状態からMRを目指すとなると、ほとんどの場合でCSOを目指します。CSOとは、製薬会社の要請に対してMRを派遣する会社のことを指します。CSOに所属するMRをコントラクトMRといいます。

なぜ、未経験の状態ではCSO(コントラクトMR)を目指すのかというと、製薬会社は未経験MRの求人を出さないからです。

しかし、高卒や専門卒の人がCSOのコントラクトMRに応募しようとすると、「学歴:大学卒業以上」と明記されているので応募すら受け付けてもらえません。製薬会社に限らず、CSOについても高卒・専門卒では応募できないのです。

かつてであれば、高卒の人であってもMRの求人へ応募し、採用されていた時代がありました。しかし、いまではそうした学歴ではMRへの転職を実現できなくなっているのです。

どれだけ素晴らしい営業成績を残していたとしても、誰もが認める資格を保有していたとしても、学歴の部分で高卒・専門卒の人ははじかれてしまいます。残念ながら、高卒からMRになるのは諦めなければいけません。

医薬品卸MSであっても求人が存在しない

それでは、他の医療業界の営業であればどうなのでしょうか。MRほどではないにしても、似ている営業職として医薬品卸MSがあります。製薬会社の営業職をMRと呼ぶのに対して、医薬品卸の営業職をMSといいます。

MRと違って、MSではルート営業になります。ただ、医師に対して薬の説明をすることがあれば、薬剤師に対して提案もします。もちろん、MRと協力して薬を一緒に売っていくこともします。MRに比べると給料は低いものの、他の営業職に比べると給与水準は高く、医療業界なので安定しています。

ただ、医薬品卸MSの求人をみればわかりますが、同じように高卒や専門卒の状態で営業職を受け入れてくれる会社はありません。学歴では「大卒以上」「短大卒以上」などの条件が書かれています。例えば、以下は関東で出された医薬品卸の大手会社の募集です。

このように、大卒以上となっています。製薬会社のMRに限らず、医薬品卸の営業職についても学歴による壁があるのです。

安定感のある医療業界の営業職で活躍する方法

それでは、高卒・専門卒の人が医療業界の営業職へ転職する方法は存在しないのでしょうか。もちろんそうではなく、もっと視野を広げれば転職することができます。

まず、医療というのは薬だけで成り立っているわけではありません。もちろん薬は必要ではあるものの、それを支える器具や道具があってこそ、ようやく医療を提供できるようになるのです。

例えば医師が薬を処方するとき、必ず診察をしなければいけません。このとき活用する器具は医療機器に分類されます。これが大病院になればCTやMRIなど、より大型の医療機器を導入することで検査をします。そのため、医療業界には多くの医療機器メーカーが存在します。

また、医療機器を活用するためには消毒しなければいけません。例えば、一度使用した手術器具を消毒しなければ院内で感染症が蔓延してしまいます。そこで、消毒薬メーカーが存在します。

他にも、患者さんのデータを管理するためのソフトウェアが必要です。医師であれば電子カルテを使うことがありますし、薬剤師であると電子薬歴を活用することで、医療の提供がスムーズになります。

また、医療とはいっても病院に限らず「薬局」「歯科医院」「動物病院」などさまざまな形態があります。歯科医院専門の医療機器メーカーなど、それぞれの専門分野に特化したメーカーもあります。

高卒・専門卒の人は医療関連分野を目指すべき理由

このように考えると、医療関連の分野は多岐にわたっていることが分かります。あなたがまだ認識していないだけであって、意外と医療業界にはさまざまな会社が存在しているのです。

そして当然ながら、その中には学歴不問(高卒・専門卒の人であっても応募できる求人)の会社が存在します。医薬品産業以外の分野を医療関連分野といいますが、こうした業界の求人へアプローチするのです。

実際、医療機器メーカーは数が多く、高卒であっても問題なく応募できる求人が数多く存在します。例えば、以下は医療機器メーカーから出された「高卒以上であれば未経験でも応募可能な営業職」の募集です。

同じ医療業界であっても、医療用医薬品に限らずその他の関連分野まで視野を広げればこうした営業職の求人募集を見つけることができます。

医療機器の営業の場合、会社ごとに特徴があります。そのため、医師に営業提案するときは比較的やりやすいです。MRであると似た薬との違いを何とかアピールしながら情報提供していきますが、強みのある医療機器メーカーへ転職すればそれだけで営業しやすいです。

ただ、医療機器メーカーとはいっても「股関節・スポーツ整形など人工関節に強みをもつ会社」「入れ歯・インプラントなど歯科医院に特化した医療機器メーカー」「人工心臓、カテーテルなど心臓や血管系の機器を製造・販売する会社」など、医療機器といってもまったく分野が異なります。そこで、どの医療機器を目指すのかを考えなければいけません。

また、医療機器の分野は幅広いです。手術後のケガを素早く治すために必要なテープ(バンソウコウのようなもの)も医療機器に分類されます。

さらに、医療関連分野は医療機器だけではありません。前述の通り、消毒薬があればソフトウェア導入の提案という仕事も存在します。他にも、ガーゼやマスク、包帯など衛生材料を取り扱う会社があります。どのような分野に携わりたいのか、あらかじめ決めておくと応募する求人が明確になります。

医療関連分野の会社は劣っているのか?

それでは、製薬会社やCSO以外の医療関連分野は劣っているのでしょうか。もちろんそうではなく、医療機器や消毒薬、衛生材料の会社にしかない特徴があります。MRから医療機器メーカーへ転職する人もいますが、これには当然ながら理由があるのです。

年収という側面だけでみれば、確かに製薬会社やCSO(コントラクトMR)の営業職として働くほうが圧倒的に高年収を実現できます。しかし、年収以外まで考慮したとき、医療関連分野のほうが優れていることはよくあります。

例えば、MRでは全国転勤があるのでどこの勤務になるのかわかりません。独身の身であれば問題ありませんが、結婚して家庭をもったときに転勤辞令が出されると、単身赴任として見知らぬ土地で働かなければいけなくなる可能性もあります。

特に女性MRであると、こうした単身赴任は受け入れられるものではありません。また、フルタイムで働く必要があるため、女性MRでは妊娠・出産を機にほとんどが退職していきます。

MRが転職する理由の上位としては、常に「全国転勤」があげられます。そこで、勤務地限定・転勤なしを実現するために医療機器メーカーを含め、他の医療関連分野の会社へ転職するMRはたくさん存在するのです。

医療関連分野であっても高年収を実現できる

それでは、これら医療関連分野の会社での年収が低いのかというと、必ずしもそうではありません。MRに比べると給料が低くなるというだけであり、一般的な営業職の中では高水準の年収を実現できます。

中にはインセンティブ(営業成績によって給料がプラスになる制度)を設けている会社もあり、そうしたメーカーであれば営業成績次第で高年収を実現できます。

また、前述の通り会社の特徴が明確であることも医療関連分野に共通しています。MRのように似通った医薬品を何とかして売ろうとしなくても、「内視鏡でトップシェア」「人工関節は負けない」などメーカーごとに特色があるため、営業活動しやすいのです。

会社規模についても、製薬会社に劣りません。医師や薬剤師など業界の人間であれば誰でも知っている世界的企業が「学歴不問」の求人を出していることはよくあります。「中堅製薬会社よりも、会社規模の大きい医療関連分野の会社」が高卒・専門卒の人を受け入れているのです。

未経験から医療営業を目指す

このように少しだけでもいいので、製薬会社MR以外の分野に目を向けることによって、実は医療業界には多くの会社が存在していることが分かります。

未経験から高卒・専門卒の人が製薬会社やCSOのMRを目指すのは、学歴という理由で諦めた方がいいです。ただ、医療機器や消毒薬、衛生材料を含め他の医療関連分野で「学歴不問」の求人を出している会社はたくさんあるため、こうした会社であれば問題なく営業職として活躍できます。

しかも、医療業界で安定していますし、他の一般会社に比べて好待遇を実現できる可能性が高いため、転職によって問題なくキャリアアップを達成できます。

医療業界への転職を考えるとき、必ずしも製薬業界にとらわれる必要はありません。確かに医薬品産業は花形ではありますが、それを支える医療関連分野が存在するため、そこへ応募すればいいのです。

特に高卒や専門卒の人の場合、学歴という理由だけで転職先の会社が狭まってしまいます。そこで、視野を広げてさまざまな医療関連会社の求人があることを認識し、転職エージェントの力を借りながら転職活動を進めてみてください。


MR転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

MRが転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人で求人活動を進めた場合、頑張っても1~2社へのアプローチに終わってしまいます。さらに、自分だけで労働条件や年収、勤務地の交渉まで行わなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに依頼すれば、これまでの企業とのつながりから最適の求人を選択できるだけでなく、あなたに代わって年収や福利厚生を含めてすべての交渉を行ってくれます。

特に製薬業界の場合、情報を表に出せないので非公開求人となっていることがほとんどです。そのため、MRの転職では転職サイトの活用が必須です。

ただ、転職サイトによって「外資系に強い」「中小の求人が多い」など特徴が異なり、保有している会社の求人が違ってきます。そのため複数の転職サイトを利用する必要があります。

以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれ転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができるようになります。

注目の人気記事

・転職サイトを活用したMR転職の体験談

MRとして活動するうえで、私自身も転職活動をしたことがあります。このときは転職サイト(転職エージェント)を利用したため、そのときの実体験や方法を踏まえ、失敗しない転職について紹介します。

管理人による転職体験記

・営業成績が優れたトップMRとして活躍する秘訣

同じようにMRで働くのであれば、営業成績の高いトップMRとして活躍する方が良いです。トップMRの行動を真似すれば、大きな成果を出せるようになります。実際に2500人の中で1位の成績になったMRを取材したため、その内容を記します。

トップMRになる方法

・MR転職サイトのお勧めランキング

MRの転職サイトはそれぞれ特徴があります。「35歳以下でしか応募できない」「MR経験者のみ応募可能」「MR未経験者でもOK」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

お勧め転職サイトランキング