国内製薬会社の中でも、大手企業の一つとして大塚製薬があります。ポカリスエットのイメージが強く、どうしても食料品や市販薬など一般向けの商品を売っている会社のように思えてしまいますが、大塚製薬が大きな収益を生み出しているのは医療用医薬品です。

大塚製薬は輸液などに強みをもっていますが、輸液分野に限らずさまざまな分野で新薬を保有している会社です。そのため、MRとして転職し、求人へ応募するとき大塚製薬は選択肢の一つに入ります。

ただ、求人へ応募して採用されるためには、企業ごとの特徴を理解しなければいけません。履歴書や面接では志望動機や退職理由を必ず聞かれるため、大塚製薬がどのような強みをもっているのかを把握する必要があります。

大塚製薬の歴史

製薬会社の特徴を知るとき、企業の歴史を知ることは非常に重要です。どのような分野の薬を手掛けているのかについては、その歴史から探ることができるからです。

大塚グループには大塚製薬の他にも、大塚製薬工場、大鵬薬品など多くの会社があります。その中でも、MRにとって重要なのが大塚製薬です。大塚製薬工場は主に輸液を取り扱い、大塚製薬では輸液ではない一般的な医療用医薬品をメインで取り扱っています。

大正時代から始める輸液の歴史

大塚製薬の源流は、1921年に大塚武三郎が大塚製薬工業部を創立したところから始まります。大塚製薬工業部が現在の大塚製薬工場であり、炭酸マグネシウムの製造を開始します。海水から取れる化学原料を供給することを考えたのです。

輸液の分野で大塚製薬工場はパイアニアであり、戦後の1946年からはブドウ糖液、塩化カルシウム注射液、リンゲル液などを製造・販売しています。1946年に輸液事業を開始し、そこから全国の病院へ輸液を届けるようになりました。

このとき、輸液以外にもめまいで多用される注射剤「メイロン静注7%」を発売し、また抗結核薬の「ヒドラ錠オーツカ」を販売するなどもしています。

そうした中、1953年に大塚グループの中では初の一般用医薬品(OTC医薬品)であるオロナイン軟膏を発売します。あかぎれやしもやけなど、皮膚疾患に対してオロナイン軟膏が使用され、これが大ヒット商品となりました。

大塚製薬の誕生

1964年には、大塚製薬工場から分社化され、子会社として大塚製薬が誕生します。大塚製薬工場がそれまで行っていた輸液事業を展開して、大塚製薬はそれ以外の食料品や市販薬、医療用医薬品などを手掛けるようになったのです。

1970年には自社研究所を設立し、創薬研究を行うようになります。同時に1970年に自律神経失調症などの治療に用いられるハイゼットを発売します。大塚製薬は精神疾患の治療薬に強みをもっていますが、大塚製薬は昔から精神疾患の薬を手掛けていたのです。

そうして1980年、高血圧治療薬であるミケラン(一般名:カルテオロール)、気管支拡張剤メプチン(一般名:プロカテロール)を自社創薬し、発売します。

ミケランとメプチンは現在でも医療現場で活用されている薬であり、海外でも展開されています。

なお、1980年はポカリスエットが発売された年でもあります。発汗によって失われた水分を口から補い、熱中症を防ぐなど日常生活でも病気の予防に貢献しています。

なお、ミケランは1984年に点眼薬としても応用されています。点眼薬として用いることで眼圧を下げ、緑内障を治療します。

画期的新薬の創出

大塚製薬はその後も新薬の創出を続けます。1988年、大塚製薬は血液をサラサラにすることで脳梗塞を防ぐプレタール(一般名:シロスタゾール)を発売します。

また、潰瘍治療で多用されるムコスタ(一般名:レバミピド)を創出したのも大塚製薬です。1990年にムコスタが発売され、広く用いられるようになります。現在、ムコスタはドライアイの治療薬として点眼薬でも活用されています。

その後、画期的な統合失調症治療薬として知られるエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)を2002年に米国で発売します。大塚製薬が中枢神経の治療薬で大きな地位を得たのは、エビリファイの発売が大きく関係しています。

さらに、2009年に米国と欧州で利尿薬であるサムスカ(一般名:トルバプタン)を発売します。心不全など、水分が体内貯留することで起こる障害を改善させます。

数多くの画期的新薬を世の中に送り出し、現在でも多くの人の治療に貢献している薬を創出している製薬会社が大塚製薬です。

大塚製薬でのMRの営業評価

既存薬と似た作用をもつ新薬を会社が発売したとき、MRは何とかしてこの薬を売らなければいけないことがあります。このとき、薬を売るのは非常に難しいです。既存薬との優位性を合理的に説明するのが困難であるためです。

それに対して、大塚製薬ではいままでにない画期的な新薬の創出を行い、販売しているケースが多いです。そのため、MRとしては非常に営業活動しやすいです。既存薬との差別化が明確であり、薬の効果も確かなので医師から受け入れられやすいです。

MRに対する社内の評価制度については、大塚製薬は良くも悪くも日本企業の形式をとっています。基本的には全員一律でMRとして評価されます。大きな成果を出したときに評価が上がるかというとそうでもなく、反対に成果がぼちぼちでも一律の上昇率で評価されます。

役職のついている人では、降格人事もありません。そのため、たとえ仕事のできない人であっても高い給料をもらい続けることができます。

また、無駄な報告書の作成(内勤作業)は多いです。書類作成が多いのは内資系企業の特徴ですが、大塚製薬では特にこの傾向が強いです。

他には、内資系製薬会社であるほど土日の医師との講演会をセッティングする傾向にありますが、大塚製薬でも他の製薬会社に比べると土日の講演会が多いです。

要は、外資系企業のように急なリストラなどはなく、実力主義による営業評価はないものの、無駄な書類作成や講演会が多くなります。典型的な内資系製薬会社の形態をとっているのが大塚製薬です。

大塚製薬の特色・評判

それでは、大塚製薬の給料はどのようになっているのでしょうか。製薬業界のMRで考えると、大塚製薬の年収は低めです。

大塚製薬は飲料メーカーとしての側面が強く、「飲料の営業」と「MR(医療用医薬品の営業)」で同じ評価体制・給料なので、飲料の営業職であれば同業他社に比べて高年収を実現できます。ただ、MR業界で比べると年収が低くなるのです。

「大塚製薬の年収が良い」と一般的にいわれているのは一部上場の大塚ホールディングスであり、大塚製薬MRの年収が特別高いというわけではないことに注意が必要です。

なお、日当は3000円と平均的です。日当は非課税なので、月20日の勤務であると「3000円×20日=6万円」の副収入があります。年間72万円なので、かなり大きい額になります。

有給休暇の取得は非常に取りやすいです。これについては、どの製薬会社であっても同様です。

女性MRについては、産休を取りやすく復職も容易です。外資系ほどではないものの、製薬会社ではどの会社も女性MRを優遇しているため、大塚製薬でやる気のある人であれば女性MRであるほど出世しやすいです。

大塚製薬の主要製品

大塚製薬の一番の強みは精神疾患です。また、独自のニッチ製品が多く、他の医薬品と特徴が重ならないので営業活動は非常に行いやすいです。

どのような医薬品を取り扱っているのかを知れば、大塚製薬の企業戦略が見えてきます。

中枢神経

一番の強みは中枢神経の領域であり、脳に作用することで精神疾患を治療します。統合失調症の画期的新薬を創出したことから、大塚製薬は精神疾患で大きな存在感を発揮するようになったのです。

・統合失調症治療薬:エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)

ドパミンやセロトニンの量が多いことにより、統合失調症の症状が起こります。そこで、ドパミンやセロトニンの作用を阻害することにより、統合失調症の症状を軽減できます。ただ、従来の統合失調症治療薬はドパミンやセロトニンを完全に遮断する作用をもっており、これにより副作用が起きていました。

そこで、ドパミンやセロトニンを完全には阻害せず、全体の約70%だけ阻害作用を示し、約30%はドパミンやセロトニンの機能が残るように適度に阻害する薬としてエビリファイが開発されました。これにより、副作用少なく病気を治療できます。

現在、エビリファイは統合失調症に限らずうつ病や双極性障害(そう状態とうつ状態が繰り返される病気)に対しても活用されます。

・ニュープロパッチ(一般名:ロチゴチン)

ドパミンという脳内の神経伝達物質が減少することで、手足の震えや筋肉の固縮を生じる病気としてパーキンソン病があります。そこで、脳内のドパミン系の神経を刺激すればパーキンソン病の症状を改善できます。このような働きをするパッチ製剤(貼り薬)がニュープロパッチです。

パーキンソン病以外にも、むずむず足症候群(レストレスレッグス症候群)にも活用されます。静止していると足がむずむずして、不眠などの症状を引き起こす病気がむずむず足症候群であり、こうした状態を改善します。

循環器・腎

高血圧治療薬ミケラン(一般名:カルテオロール)を自社創薬していることから、循環器領域にも大塚製薬は強みをもっています。

・サムスカ(一般名:トルバプタン)

体内の水分を外へ排泄させる薬として、利尿薬があります。心不全などで体内に水分貯留があると、臓器の機能が衰えて不具合が表れるようになります。そこで、強力な利尿作用によって水分を体外へと排泄させる薬としてサムスカがあります。

また、腎臓の難病として知られる常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の世界初の治療薬として用いられるなど、サムスカはオーファンドラッグ(希少疾病に対する薬)としての側面もある薬です。

・プレタール(一般名:シロスタゾール)

血管の中に生じる血の塊を血栓といいます。血栓を生じたとき、血栓が脳の血管を詰まらせると脳梗塞を発症するようになります。そこで、血栓の生成を防止することで脳梗塞を予防しなければいけません。

プレタールは抗血小板薬と呼ばれ、いわゆる血液をサラサラにする作用があります。プレタールは血栓の生成を防止し、脳梗塞の再発予防を行います。

眼科

大塚製薬は高血圧治療薬や消化性潰瘍治療薬などを開発していますが、これを眼科領域の薬(点眼薬)として応用しています。

・ミケラン(一般名:カルテオロール)

ミケランはβ遮断薬と呼ばれる薬であり、内服薬では心臓に作用することで心拍数を抑えます。これにより、高血圧を治療します。

ただ、これを点眼薬として使用すると眼圧を低下させる働きがあります。そこで、高血圧治療薬だけでなく点眼薬にすることで、高眼圧症や緑内障の治療薬として応用されています。

・ムコスタ(一般名:レバミピド)

現在でも、消化性潰瘍や解熱鎮痛剤による副作用(胃腸障害)を治療するために多用されている薬としてムコスタがあります。ムコスタは胃粘液分泌を促進したり、胃粘膜を保護したりして潰瘍を治療します。

そこで、こうした働きを有する有効成分を点眼薬として活用し、目のかわきを防ぐドライアイの治療薬として応用しました。単に涙の成分を補うだけでなく、目の乾燥を防ぐ作用を有する薬です。

呼吸器

大塚製薬では呼吸器領域の薬も有しています。特に小児(子供)ではぜんそく症状などが問題になりやすいため、小児科の領域でもぜんそく治療薬が活用されています。

・メプチン(一般名:プロカテロール)

気管支喘息や肺気腫などの治療薬としてメプチンが用いられます。気管支にはβ2受容体と呼ばれるスイッチがあり、β2受容体を刺激すると気管支が拡張するようになります。

メプチンはβ2受容体刺激薬であり、これによってぜんそくや気管支炎による呼吸困難状態を緩和します。

大塚製薬のMRへ転職し、活躍するための準備をする

大塚製薬がどのような製品を取り扱い、製薬会社としてどのような特徴があるのかについて解説してきました。製薬会社ごとに強みをもつ領域が異なり、社風もまったく違うのでこれらを理解したうえで志望動機や退職理由を考え、履歴書を作成したり面接に臨んだりしなければいけません。

大塚製薬の場合、中枢神経(精神疾患)に大きな強みをもちます。製品開発力が強く、薬によっては適応追加されることもあり、MRとして活動するときは常に新鮮な気持ちで臨むことができます。独自製品が多く、MR活動も行いやすいです。

ただ、前述の通り良くも悪くも日本企業です。特に大きな成果を出せる人にとっては、評価が一律になるのでモチベーションは下がってしまうかもしれません。

しかし、日本企業として非常に働きやすい会社の一つです。大塚製薬の求人へ応募し、MRとして転職を考えるときはここまで述べてきた特徴を理解したうえで面接に臨んでみてください。


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MRが転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人で求人活動を進めた場合、頑張っても1~2社へのアプローチに終わってしまいます。さらに、自分だけで労働条件や年収、勤務地の交渉までしなければいけません。

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特に製薬業界の場合、情報を表に出せないので非公開求人となっていることがほとんどです。そのため、MRの転職では転職サイトの活用が必須です。

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