転職する人が多い職業として、MRが知られています。MRとして製薬企業の求人へ申込み、別会社のMRとして活躍する人の割合が多いのが特徴です。

こうした製薬会社には内資系や外資系があり、その中でも外資系製薬会社としてイーライリリーが知られています。イーライリリーは日本法人があり、日本イーライリリーとしてMR部隊を保有し、営業活動を展開しています。

イーライリリーはMRの中途採用を行っており、外資系であるためかそうした中途入社組であってもなじみやすい企業文化があります。MRが転職を検討するとき、イーライリリーは一つの選択肢になるため、どのような特徴があるのかを把握し、志望動機を考えればいいのかについて確認していきます。

イーライリリーの歴史

会社の特徴を知るとき、効果的な方法として会社の歴史を知ることがあります。会社の成り立ちから、製薬会社ごとの強みを学べるようになります。

イーライリリーはアメリカ・インディアナ州に本社を置く会社であり、社名は創業者であるイーライ・リリー氏に由来しています。1876年、人に対して有用な医薬品開発を目指し、アメリカ・インディアナでイーライリリー・アンド・カンパニーが設立されました。

売上に対する研究開発費の比率は製薬会社の中でもトップクラスであり、これには創業当時の考えが現在でも受け継がれているからです。

世界で初めて、インスリンを製剤化させる

一つの医薬品開発により、それまでの治療法が劇的に変わることがあります。イーライリリーが発売した薬によって病気の治療に対して革命が起こった疾患としては糖尿病があげられます。世界で初めて、インスリンを製剤化した会社がイーライリリーです。

それまで、糖尿病は死の病気でした。糖尿病の治療を行うとはいっても、飢餓療法など耐え難いものでした。

こうした中、インスリン研究によってノーベル賞を受賞するトロント大学のフレデリック・バンティングやチャールズ・ベストたちと協力し、イーライリリーは1923年にインスリン製剤であるアイレチンを発売しました。

イーラーリリーが現在でもインスリン製剤で糖尿病の分野に貢献しているのは、インスリンによって病気の治療に貢献した歴史があるからなのです。

また、1982年には遺伝子組み換えによるヒトインスリンを世界で初めて開発します。それまでのインスリンは家畜であるブタやウシのすい臓から抽出されていました。ヒト由来のインスリンではないため、副作用が表れやすかったり、使い続けているうちに薬の効果が弱くなったりするという問題点がありました。

そこで、遺伝子組み換え技術を活用し、ヒトインスリンであるヒューマリンを販売することに成功しました。これにより、副作用を大幅に軽減できるようになりました。

その他、ヒューマログやバイエッタなど遺伝子組み換えによる糖尿病製剤を発売し、イーライリリーは糖尿病治療に大きく貢献しています。

抗生物質の開発

また1940年代には、世界初の抗生物質であるペニシリンの大量生産に成功します。ペニシリンの大量生産を行い、商業化した製薬会社は複数存在します。その中の一社がイーライリリーです。

その後、1950年代には抗生物質バンコマイシンを発売します。現在でも、抗生物質が効かない「耐性菌」は問題になりやすいですが、バンコマイシンは耐性菌にも効果を示すため、他の抗生物質が効かない患者さんに対して最終手段で活用されていました。

1960年代にはセファロスポリン系抗生物質を上市し、ケフレックス(一般名:セファレキシン)など多くの抗生物質を開発・販売することになります。

抗がん剤の研究開発を行う

抗がん剤領域も手掛けており、ニチニチソウという植物から抽出された抗がん物質を活用し、1970年代にオンコビン(一般名:ビンクリスチン)やエクザール(一般名:ビンブラスチン)を発売します。

また、1990年代にはすい臓がんや非小細胞肺がんの治療薬であるジェムザール(一般名:ゲムシタビン)を発売するようになります。抗がん剤領域についても、イーライリリーは強みをもっています。

中枢神経領域の薬

他の領域も手掛けており、統合失調症治療薬のジプレキサ(一般名:オランザピン)を2001年に開発・販売することになります。ジプレキサは双極性障害(そう状態やうつ状態を繰り返すこと)の治療薬としても利用されます。

他には、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療薬としてストラテラ(一般名:アトモキセチン)を開発し、2002年には世界で初めて米国で承認を得ています。

抗うつ薬として知られるサインバルタ(一般名:デュロキセチン)の開発も行い、米国では2004年に承認・発売されています。

その後も画期的新薬の開発を行う

広く活用されている画期的な新薬の開発はその後も続いて行きます。骨粗しょう症の分野では、閉経後女性の骨粗しょう症治療薬としてエビスタ(一般名:ラロキシフェン)を1990年代に開発しました。

その後、それまで予防目的の薬しかなかったなか、骨量を増やす(=骨粗しょう症を治療する)という薬としてフォルテオ(一般名:テリパラチド)を2010年に発売しています。

また、ED治療薬シアリス(一般名:タダラフィル)が2002年にEUで承認されるなど、その後も新薬開発を続けている会社がイーライリリーです。

イーライリリーでのMRの営業評価

製薬会社で内資系と外資系を比べたとき、外資系の方が実力主義であり、女性MRが働きやすいという特徴があります。これについては、イーライリリーも同様です。

イーライリリーは実力主義です。プロセス評価は存在するものの、実績評価がメインになります。MRとして営業成績を残すことができなければ、出世はできずそれなりの評価・対応を受けます。

一方でMRとして成果を残すことができれば、たとえ年齢が若かったとしても活躍の機会が与えられるようになります。

また、良い意味でも悪い意味でも課長や支店長にどれだけ気に入られるかが重要になります。営業成績を出すだけでなく、いかに上司から気に入られるのかまで考えてMR活動をするといいです。

イーライリリーの特色・評判

年収について、イーライリリーは平均的です。他業種に比べると高いものの、製薬会社という業界内でMRの年収をみたときは一般的なのです。

イーライリリーへ中途採用で転職するとき、前職の給料が反映されたうえで年収決定されることがあります。MRはもともとが高年収であるため、前職がMRであると高給料でのスタートとなることが多いです。

なお、MR未経験者であっても中途採用で入社できる珍しい会社でもあります。新薬メーカーを目指す場合、一般的にはコントラクトMR(CSOのMR)を経験した後、新薬メーカーのMRとして転職するのが普通です。ただ、イーライリリーではMR未経験者でも求人へ応募できます。

日当は1日3000円であり、このときの日当は非課税です。例えば月20日働くとなると、「1日3000円 × 20日 = 6万円」の非課税所得を年収とは別に受け取ることができます。月6万円であるため、年間では72万円になってかなり大きな副収入になります。

有給休暇については自由に取得できます。有給休暇をいつでも取れるのはどの製薬会社のMRであっても基本的には同じです。

これに加え、女性MRは育休や出世を含め優遇されやすいです。外資系製薬会社であるほど女性MRが活躍しやすく、これについてはイーライリリーも同様です。もちろん、働きやすいとはいっても営業成績を残せていることが前提です。

イーライリリーの主要製品

糖尿病や中枢神経、抗がん剤などに対して、イーライリリーは強みをもっています。こうした領域で活躍したい場合、イーライリリーのMRとしての転職を検討するといいです。

イーライリリーがどのような製品を取り扱っているのかを知れば、より企業の特徴を理解できるようになります。

糖尿病・内分泌

生活習慣病を広く取り扱う製薬会社は多いですが、その中でもイーライリリーは糖尿病領域に強みをもっています。また、糖尿病治療薬を取り扱う会社は内服薬をメインとしていますが、イーラリリーでは遺伝子組み換えを活用した生物製剤が主です。

インスリンは生物製剤であり、内服薬ではなく注射剤です。自己注射によってインスリンを投与しますが、イーライリリーではインスリン製剤を含めた生物製剤を取り扱っています。

・ヒトインスリン製剤:ヒューマリン

前述の通り、世界で初めてヒトインスリンとして開発された薬がヒューマリンです。糖尿病の症状が重い場合、インスリン製剤を外から投与することで血糖値を下げます。一型糖尿病患者や妊娠中の糖尿病患者の場合、インスリン注射が必須なので広く用いられます。

ヒューマリンには、製剤工夫によって速攻型や中間型などさまざまなタイプがあり、患者さんの症状や用途によって使い分けていきます。

・ヒトインスリン製剤:ヒューマログ

インスリン製剤の中でも、超速攻型のインスリンとしてヒューマログが知られています。食事の直前に注射することによって、食後の高血糖状態を改善することができます。

・ヒトGLP-1アナログ:バイエッタ(一般名:エキセナチド)

・ヒトGLP-1アナログ:トルリシティ(一般名:デュラグルチド)

食事をすると、ヒトではGLP-1(インクレチン)という物質が放出され、これによってすい臓からインスリンが分泌されます。そこで、食事ではなくGLP-1を外から注射することで血糖値を下げることを考えた薬がトルリシティです。

GLP-1アナログの中でも、バイエッタは1日2回注射する薬であり、トルリシティは週に1回投与すれば薬の効果が持続するようになっています。

中枢神経

統合失調症の薬を自社創出したことがあるため、イーライリリーは中枢神経(脳・脊髄)に作用する薬を取り扱っています。

・統合失調症治療薬:ジプレキサ(一般名:オランザピン)

統合失調症では幻覚や幻聴が聞こえる陽性症状だけでなく、意欲の減退が見られる陰性症状も起こります。脳内神経伝達物質の中でも、陽性症状の改善にはドパミンの働きを阻害し、陰性症状に対してはセロトニンの作用を抑えることが重要だと考えられています。

ジプレキサはドパミンやセロトニンの阻害作用が知られており、これによって統合失調症による陽性症状と陰性症状の両方に対して効果を示すことが明らかになっています。

・ストラテラ(一般名:アトモキセチン)

子供のときに発症する発達障害の一つとして注意欠陥・多動性障害(ADHD)があります。ADHDはいわゆる落ち着きがなかったり、注意散漫だったりします。

ADHDの治療薬としては、それまで脳に対して覚せい作用のある薬が用いられていました。ただ、こうした薬では依存や耐性などの問題があります。そこで、覚せい作用がなく依存や耐性の心配もない非中枢性のADHD治療薬として開発された薬がストラテラです。

・サインバルタ(一般名:デュロキセチン)

うつ病患者の脳内では、意欲や気力に関わるセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足しています。そこで、脳内のセロトニンやノルアドレナリン量を増やすことでうつ病を治療する薬がサインバルタです。

サインバルタは抗うつ薬としてだけでなく、神経痛の治療薬としても活用されています。

抗がん剤(オンコロジー)

抗がん剤の領域をオンコロジーといいます。イーライリリーは抗がん剤の創出も行っており、オンコロジーMRとして活躍することが可能です。

インスリン製剤を世界で初めて開発したことから、遺伝子組み換え技術を活用して生物学的製剤による抗がん剤も保有しています。イーライリリーは内服薬に限らず、バイオ製品での抗がん剤を保有しているのです。

・葉酸系代謝拮抗薬:アリムタ(一般名:ペメトレキサド)

中皮腫の治療薬として、シスプラチンと併用して用いることが可能な抗がん剤がアリムタです。がん細胞では細胞の増殖速度が速く、このときのDNA合成には葉酸が活用されます。そこで、葉酸の働きを阻害することで抗がん作用を示します。

アリムタを使用する場合、葉酸とビタミンB12を併用する必要があります。これは、アリムタによる副作用を軽減するためです。

・ピリミジン系代謝拮抗薬:ジェムザール(一般名:ゲムシタビン)

非小細胞肺がんや膵がん、胆道がんなど多くのがん疾患に対してジェムザールが活用されます。非小細胞肺がんなどでは、シスプラチンなど他の抗がん剤と併用することで高い抗腫瘍効果を得られます。

ジェムザールを点滴するときは30分で行う必要があります。これは、60分以上の時間をかけて点滴すると、副作用(毒性)を増強する恐れがあるからです。

・胃がん治療薬:サイラムザ(一般名:ラムシルマブ)

抗体医薬品として、胃がんを治療する薬がサイラムザです。がん細胞では、効率的に細胞増殖するために自分のところへ新たに血管を作ろうとします。これを血管新生といいます。

そこでサイラムザを投与すれば、血管新生を抑制できるようになります。血管新生阻害薬は他にもあるものの、胃がんを適応とする血管新生阻害薬として初めて承認された薬がサイラムザです。

骨粗しょう症

骨がスカスカになることよって、骨折を起こしやすくなる病気が骨粗しょう症です。イーライリリーのMRでは、骨粗しょう症の領域を担当することもあります。

・閉経後女性骨粗しょう症治療薬:エビスタ(一般名:ラロキシフェン)

骨粗しょう症は女性に多い疾患です。これは、骨量の維持に女性ホルモンが大きく関与しているからです。閉経後に女性は骨量が減少しやすいです。これは、閉経によって女性ホルモンの分泌量が大幅に減ってしまうからです。

そこで、閉経後女性の骨粗しょう症を治療する薬としてエビスタを用います。単に女性ホルモンを補うと乳がんリスクが高まります。ただ、エビスタでは乳がんリスクの上昇なく、閉経後女性の骨粗しょう症を改善することができます。

・骨芽細胞刺激薬:フォルテオ(一般名:テリパラチド)

それまで活用されていた骨粗しょう症の治療薬では、骨粗しょう症を予防する目的しかありませんでした。そうした中、骨量を増やすことで骨形成を促し、骨粗しょう症を治療する薬としてフォルテオが登場しました。

フォルテオを1日1回投与することにより、骨形成を促すことができます。

その他の疾患

遺伝子組み換え技術を活用して新薬創出を実現していることから、イーライリリーでは生物学的製剤を自己免疫疾患の治療薬としても応用しています。また、ED治療薬なども保有しています。

・乾癬治療薬:トルツ(一般名:乾癬治療薬)

自己免疫疾患の一つとして、乾癬(かんせん)があります。乾癬では皮膚に炎症が起こり、ボロボロと剥がれ落ちるようになります。そこで免疫の働きを抑えることができれば、乾癬の症状を抑制できるようになります。

トルツは抗体医薬品であり、遺伝子組み換え技術を活用した生物学的製剤です。乾癬の症状を大幅に改善することで、病気を治します。ちなみに、乾癬は感染症ではなく、あくまでも自己免疫疾患です。

・ED治療薬:シアリス(一般名:タダラフィル)

年齢を重ねることで、勃起不全に悩む男性が多くなります。勃起不全のことをEDといいます。こうしたEDの状態を改善する薬がシアリスです。

ED治療薬としてはバイアグラが有名です。ただ、バイアグラは食事の影響を受けたり、作用時間が数時間しかなかったりと問題があります。そこで、1回の服用で24時間以上の効果を示す薬としてシアリスが活用されています。

イーライリリーのMRへ転職し、活躍するための準備をする

ここまで、イーライリリーがどのような新薬開発を行い、特徴があるのかを解説してきました。製薬会社ごとに特徴があり、その中でもイーライリリーは糖尿病や中枢神経、抗がん剤(オンコロジー)などで強みがあります。

また、他の製薬会社とは違って、内服薬ではなく遺伝子組み換え技術を用いたバイオ製剤に強いです。これは、インスリン製剤が生物製剤であり、イーライリリーが世界で初めてインスリンを実用化させた歴史からも読み取れます。

イーライリリーは良い意味でも悪い意味でも外資系企業として実力主義となっています。MRとして成果を出せる人の場合、それだけ評価されるので営業力に自身のある人にとっては転職先として優れた会社だといえます。また、外資系なので女性MRは働きやすいです。

ここまで述べてきた特徴を理解したうえで、イーライリリーの求人へ応募してみてください。中途採用を受け入れている大手製薬会社の一つであり、企業研究をしっかりしたうえで履歴書を作成し、面接対策を実施しましょう。


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