MRは営業職であるため、自社の医薬品を採用してもらったり処方数を伸ばしてもらったりすることが仕事です。そのためには、医師の心をつかまなければいけません。

ただ、実際のところ多くのMRは医師との会話に困っていることが多いです。それでは、なぜ医師とうまく雑談を交わすことができず、会話が弾まないのでしょうか。これには、当然ながら理由があります。

そこで、どのようにして雑談をうまく進め、会話で医師の心をつかめばいいのかについて解説していきます。成績が悪い状況を抜け出し、業績評価を上げるためには会話力を上げる必要があります。

会話が弾まないのは、医師のニーズをつかめていないから

多くのMRは自分の都合ばかりを医師に押し付けようとします。これが、営業成績の悪いMRの共通点です。「何とかして薬を採用してもらいたい」「処方数を増やしてもらいたい」という自分の都合だけで話を組み立てようとしているのです。

要は、自社製品のメリットばかりをアピールしようと考え、そのためのシナリオばかりを何度も練習して繰り返します。

ただ、どれだけ素晴らしいプレゼンをしたとしても結局のところ採用されないことが多いです。そこで、もっと医師が考えていること(医師のニーズ)に着目するようにしましょう。

そもそも、医者のニーズは「薬」ではありません。医師の先生にとって、あなたの薬を採用することはどうでもいいのです。

そうではなく、人によって異なりますが医師のニーズは「患者」「学会」「経営」「医師会」「レセプト」などであることが多いです。「薬」については、優先順位が低いです。このことを理解したうえで会話の内容を組み立てなければいけません。

自己都合の押し付けは迷惑でしかない

上記のことを理解していないMRが多いため、医師は迷惑します。

例えば、パソコンを購入する場面を考えてみましょう。このとき、以下のように製品の特長ばかりを説明されればどのように感じるでしょうか。

このパソコンは最新鋭のOSがインストールされており、CPUは〇〇を搭載し、メモリは△GBです。キーボードは□□スタイルを採用しているため、誤操作は非常に少なくなっています。

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パソコンのスペックやサービス内容ばかりを並べましたが、このような商品説明で買いたいと思う人はほとんどいません。一方的に製品を解説されたとしても、こちら側のニーズを満たしていないからです。

それでは、次のようなケースであればどうでしょうか。出張の多いサラリーマン男性に向けてパソコンを紹介する場面を仮定します。

出張がたくさんあるのであれば、パソコンを持ち歩く機会が多いと思います。また、新幹線・飛行機を待っているときや出張先などでパソコンを開いて仕事をすることも多いでしょう。

そうした場合、軽いパソコンの方が持ち運びが便利です。また、パソコンを開いたときの起動時間が短ければストレスは少ないですし、頑丈な設計であれば急に壊れる心配もありません。そこで、値段は少し高くなりますが、「軽量」「起動時間が短い」「頑丈」という3つを満たしたこちらのパソコンはどうでしょうか。

コンセントに刺していない状態であってもバッテリーが20時間ほどもつようになっているため、出張の多い方はほとんどがこちらのパソコンを使用しています。

このように、相手が望んでいる悩みを解決するように商品を説明することで、ようやく「その製品を買いたい!」と思えるようになります。

これは医師へ薬の説明をするときも同様であり、薬の特性ばかりを説明しても意味がありません。薬のスペックばかりを並べたとき、多くの医師は心の中で「だから何?」と思っています。自らが望んでいるニーズとかけ離れたプレゼンをされているため、心に響かないのです。

ただ、MRとして活動するとき、こうした当たり前のことを理解せずに医師へ薬の説明をしようとします。「今回の薬は別の作用機序を有している」「半減期が長く、服用回数は少なくてすむ」などです。こうしたプレゼントークは改めなければいけません。

ニーズを満たした会話を心がける

ここまでのことを認識した上で、医師のニーズは何かをもっと深く考えてみるといいです。

例えば、「どれだけ治療しても、うまく治らない患者さんがいる」という悩みを医師がもっていた場合、どのようにすれば自社製品でその悩み(=医師のニーズ)を解決できるのか考えたうえで情報提供すると喜ばれます。

また、クリニックの院長先生が「経営」で悩んでいた場合、薬のことは話さずに「どのようにレセプトを請求すれば売上が上がるのか」「効率的に医療経営している他のクリニックに関する事例」などの情報提供をしたり、医療経営に詳しい人を紹介したりすると感謝されます。

悩み事がまったくなく、常に順風満帆な状況で診察をしている医師はいません。そこで、医師のニーズを理解したうえで、医師の悩みを解決する手伝いをするのがMRの仕事だと心がけましょう。

成績が悪く、仕事のできないMRであるほど自分の都合ばかりを考えています。ただ、トップMRであるほど薬の説明を後回しにして、医師の力になることで結果として患者さんに貢献することを考えています。

相手のニーズを知ろうとすることが、会話で医師の心をつかみ、成績を向上させるコツといえます。

会話の糸口を見つけるため、院内を観察するべき

相手のニーズを見つけるためには、雑談が必須です。薬の話ばかりをしている状態では相手の悩みを引き出すことができないため、雑談の中で医師のニーズを探る必要があります。

このとき、会話を始める前に院内をしっかりと観察するようにしましょう。営業成績の優れているMRであるほど、病院内やクリニックの中を無意識にみていまさす。

「患者さんはどれだけ並んでいるか」「院内のポスターには何が貼られているか」「スタッフの様子はどうか」などです。

こうした様子を観察した上で、いつもと変わっている点はないでしょうか。また、他の病院やクリニックを比較した上で特徴的なことはないでしょうか。

例えば、クリニックの院内に置かれている資材(掲示物)がいつもと違っている場合、開業医の先生は新たな治療法を検討しているのかもしれません。他には、診察室内にサッカーの雑誌があり、そこからスポーツの話が盛り上がることもあります。

自分なりに仮説を考え、そうした上で医師に聞いてみることで会話の糸口が見つかるようになります。

先生のことを知れば雑談は難しくない

「医師との会話の内容に困っている」というMRはたくさんいます。ただ、この原因は簡単です。それは、相手のことを観察しておらず、「薬を採用してもらいたい」と自分中心的に物事を考えているからです。

病院の先生や開業医を含め、雑談をうまくできないのは先生のことを知らないだけです。相手が何に興味をもっているのかを考え、そうしたニーズに合わせた会話だけを考えるようにしましょう。

要は、「相手が欲している情報」だけを提供するように注力するのです。そうすれば、一方通行の会話ではなくコミュニケーションを取れるようになります。

特に机の上や本棚には会話のネタがたくさん転がっています。病院や開業医を含め、これについてはあらゆる医師に共通しています。机の上にどのような雑誌や書類があるのかを観察するようにしましょう。先生が出席する予定の講演会や学会を含め、さまざまな情報を机の上から読み取れるようになります。

一度、心をつかめば会話の内容に困ることはない

相手のニーズを探るとはいっても、当然ながらすぐ実践できるようになるわけではありません。

ただ、何も考えずに「薬を採用してもらいたい」という自分のエゴを押し付けているようでは、営業成績はいつまで経っても向上しません。そこで、医師のニーズへ焦点を当てて、相手の欲していることを注意深く観察するクセを付けるようにしましょう。

そうして自分目線ではなく、相手の目線に立つことで少しずつ会話の糸口が見えてくるようになります。

このとき、毎回の訪問時に必ず取るべき行動として「メモ」があります。営業成績が優れているMRは全員、メモを取っています。医師とどのような会話を行い、何を話したのかを必ずメモしているのです。

そうしたとき、次回の訪問時にメモの内容を見れば雑談に困らなくなります。相手のニーズを理解したうえで会話を交わしていたのであれば、雑談のネタをたくさん拾えているはずです。

例えば、会話の途中で「最近、〇〇という薬でレセプトを切られてしまった」という話があった場合、「どのようにすればレセプトが切られず、診療報酬を受け取ることができるか」「レセプトが通った他の事例はないか」を調べたうえで、次回の訪問時の話題にすれば問題ありません。

人間であるため、メモをしておかないと前回の会話内容を忘れてしまいます。そこで、訪問時すぐに会話の内容を思い出しながらメモをするようにしましょう。

返答は素早く返す

なお、会話の中で医師が困っていること(=医師のニーズ)を発見した場合、できるだけ早くその悩みを解決する手伝いを実施するようにしましょう。

例えば、先ほどの「レセプトが切られた」ということについて、1ヶ月後に話をもっていっても意味がありません。医師にとって興味関心のあるホットな話題は時間と共に変わっていくため、できるだけ早く情報提供するようにしましょう。

医師にとって役立つ情報を素早く提供すれば、あなたは感謝されます。薬に関することに限らず、相手の悩みを解決するように努力すれば医師はあなたのことを信頼するようになってきます。そうすれば、あなたから薬のプロモーションを積極的にしなくても、勝手に薬が売れるようになって営業成績が改善されていきます。

MRというと、どうしても「薬の説明をするのが仕事」のように思ってしまいます。ただ、実際はそうではありません。医師の悩みを総合的に解決する手伝いをするのがMRの本質だといえます。

薬の説明ばかりを考えているようでは、自分のエゴだけを押し付けている状態だといえます。一流のMRであるほど、薬の説明はせずに「どうすれば医師に感謝されるか」を考えていることを忘れてはいけません。

医師の関心ごとを把握する

そうして医師の悩みを解決していると、頼られるMRとしてさまざまな悩みの相談を受けるようになります。それは「経営」や「人事」のことかもしれませんし、「息子のお見合い相手」のことかもしれません。薬に関係ない、あらゆる相談を受けるようになります。

プライベートのことまで含めて相談されるようになれば、MRとしてそれだけ医師に信頼された証だといえます。この状態になるまで信頼関係を築くことができれば、営業成績を上げるのが非常に楽になります。医師の方から「どのような薬か説明してほしい」と聞かれるようになります。

もし、MRとしての営業成績が悪く業績評価が優れない場合、「自分は担当医師のことをどれだけ知っているか」を思い返すようにしてみてください。

「専門分野」「所属している学会」などは当然のこととして、「家族構成はどうなっているのか」「休日は何をして過ごしているのか」「最近はどこへ旅行に行ったのか」「行きつけの居酒屋はどこか」などを理解しているでしょうか。

これらを把握していない場合、MRとしての役割を果たせていないといえます。医師にとってみれば、単に薬の説明ばかりをする面倒なMRです。

医師とMRとの関係とはいっても、どれだけ個人的に密な繋がりをもっているかどうかが重要です。薬の説明だけをするドライな関係では信頼関係は生まれず、そのような状態で営業成績が向上するのは無理だといえます。どれだけパンフレットを持参していったとしても、医師の心には響きません。

相手を知ることは、営業活動を行う上での基本です。こうした基本を無視して、薬のアピールばかり実践して薬が売れるわけがありません。これらを理解したうえで、相手が望んでいることは何かを本気で考えるようにしましょう。

知らない話は積極的に教えてもらう

なお、医師に情報提供するとはいっても、雑談中は基本的に教えてもらう立場だということを忘れてはいけません。

最も行ってはいけないのが「知ったかぶり」です。実際には知らないにも関わらず、知っているふりをして話を合わそうとする行為です。ただ、これをやってしまうと一気に信頼を失います。

そこで、知らない話題になったとき、あなたは生徒の立場として教えてもらうようにしましょう。「まったくの無知の状態でゼロから教えてくれ」というスタンスでは嫌われますが、ある程度まで勉強した上であれば、医師は喜んであなたに教えてくれます。

基本的に、人に教えることが嫌いな人はいません。特に医師は勉強家の人が多く、他人に教えることを苦に思わない人が多いです。むしろ、他人に教えることで優越感を覚えてくれます。

こうしたことを理解して、医師からたくさんの知識を授けてもらいましょう。医師と交わした会話の内容をメモし、勉強を重ねて医師と同じ目線で話を進めることができれば、あなたの知識も増えてより深い話ができるようになります。

そうした会話の中で、あなたが動くことで医師の悩みを解決できる事例を発見したら、すぐ行動に移すようにしましょう。このときの素早い行動は「営業成績の向上」という形で後になって返ってきます。


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