外資系の大手製薬会社として、バイエル(バイエル薬品)が知られています。循環器領域に強みをもち、グローバルに展開している会社がバイエルです。

MRとして転職することを考えるとき、バイエルは中途採用も受け入れているので求人先の候補となります。

ただ、求人へ応募するときは製薬会社ごとの強みや特徴を理解しなければいけません。こうしたことを理解したうえで履歴書や面接で志望動機・退職理由を述べる必要があります。

バイエルの歴史

1863年、ドイツでフリードリヒ・バイエルが染料会社を設立したことからバイエルの歴史が始まります。最初は現在のように医薬品を取り扱わず、バイエルに医薬品部門が創設されたのは1888年のことです。

医薬品部門の創設と共に、1888年にバイエルによって鎮痛剤「フェナセチン」が初めて日本で紹介されます。

また、バイエルで有名な薬としては解熱鎮痛剤として知られるアスピリンがあります。1897年、バイエルの科学者であるフェリックス・ホフマンはアスピリンを合成することに成功しました。その後、1899年にはアスピリンが商標登録され、世界中で愛用されるようになります。

アスピリンは現在でも解熱鎮痛剤や抗血小板薬として広く活用されています。例えば、バファリンやバイアスピリンという薬は多用されますが、この有効成分はアスピリンです。

また、日本では1911年に外資系企業として初めてのバイエルの直営店が創設されます。ただ、ドイツの会社であるため1917年には第一次世界大戦の影響によって日本への輸出がなくなり、一次休業状態に陥ります。ただ、終戦した1919年には営業が再開されるようになりました。

ノーベル賞受賞者を輩出したバイエル

世の中には、ノーベル賞受賞者を輩出した会社があります。例えば、大手の外資系製薬会社であるGSK(グラクソ・スミスクライン)はノーベル生理学・医学賞の受賞者を輩出しています。これについてはバイエルも同様であり、創薬研究の中からノーベル賞受賞者を出しているのです。

バイエルの科学者、ゲルハルト・ドーマクは抗菌薬の研究を行っていました。バイエルが染料会社として始まったことからか、彼は染料に着目し抗菌作用を有する染料を探索しました。

そうして1932年、赤色アゾ色素の一種であるプロントジルに抗菌作用があることを突き止めました。レンサ球菌に感染したマウスへプロントジルを投与したところ、感染症を治療することがこのとき確認されたのです。

このとき、ドーマクの娘が偶然にもレンサ球菌に感染してしまい、他の治療法を試しても効果が乏しいものでした。このとき、プロントジルを投与したところ娘の感染症が完治するに至りました。

プロントジルの構造(スルホンアミド)を元にして開発された抗菌薬をサルファ剤と呼び、つまり世界初のサルファ剤がプロントジルとなるのです。サルファ剤は現在でも多くの人の感染症を治療し、命を救っています。

1939年、プロントジルの発見に対してノーベル生理学・医学賞が贈られます。ただ、当時はナチス・ドイツ政権下であったのでドイツ人の受賞ができないことになり、第二次世界大戦後の1947年に改めてノーベル賞を受賞しています。

その後も続く新薬の創出

アスピリンやサルファ剤に限らず、バイエルは多くの画期的新薬を創出しています。

例えば、バイエルは1966年に高血圧治療薬であるアダラート(一般名:ニフェジピン)を開発します。1975年には、ドイツで初めてアダラートが発売されるようになり、アダラートは狭心症などにも活用されます。

また、2005年には抗がん剤であるネクサバールを開発します。循環器領域に限らず、がん領域でもバイエルは存在感を示しています。

2008年には経口の抗凝固薬であるイグザレルト(一般名:リバーロキサバン)がカナダで承認されます。強みである循環器領域でも、当然ながら新薬創出を行っています。

また、遺伝子組み換え技術を用いた製品開発にも積極的に取り組んでいます。バイエルは眼科領域の薬である加齢黄斑変性治療薬のアイリーアを共同開発しています。

このように、医療の歴史の中でバイエルが果たした役割は大きいです。現在でも広く活用されている薬を保有し、新薬創出を行っている製薬会社がバイエルです。

バイエルでのMRの営業評価

外資系製薬会社の中で初めて日本法人を置き、長期にわたって日本で活動しているからか、バイエルは外資系ではあるものの、日本企業のような体質です。営業評価は実力主義ではなく、悪い意味でも良い意味でも評価は全員が一律になりやすいです。

特に若い人の場合、どれだけ営業成績が優れていたとしても、仕事のできない人とあまり給料は変わりません。この点については、優秀な人であるほど不満をもちやすいです。ただ、これは成果があまり出ていないときであっても年収は確保されることを意味しています。

どれだけ営業成績が高かったとしても、プロセス(成果を出すために何をしたのか)をうまくアピールできなければ評価されないなど、これらについても日本企業のような風土があります。

数字を達成できなくても、そこまでうるさくいわれることはありません。和気あいあいとした、かなりのんびりした会社です。

また、転勤がほとんどないという特徴もあります。同じ地域で10年以上、勤務している人は珍しくありません。同じ地域で長年MR活動ができることは、メリットでもありデメリットでもあります。

転勤が頻繁になく、家族に迷惑をかけず同じ土地でMR活動できることについては大きなメリットです。ただ、他の土地で働きたいと考えている人にとっては、転勤希望が叶わないことはデメリットです。

バイエルの特色・評判

MRとしての活動については、バイエルは常に新薬が出る会社ではありません。大型新薬が発売されるときなどはモチベーションを高く保ってMR活動できるかもしれませんが、他社に比べると頻繁に新薬が出るわけではなく、同じ薬を長く売る必要があります。

なお、年収についてはMR業界の中では平均的です。ただ、他の外資系のように営業成績によってボーナス額が大幅に変わるというわけではありません。

外資系では、ボーナスがその年の年収を決める要素として大きなウエイトを占めることが多いです。一方でバイエルではボーナスの割合が低いため、営業成績によって給料が大きく変動することは少ないです。

有給休暇については、問題なく取得することができます。どのMRであっても自由に休み(有給休暇)を取ることができ、もし上司に拒否されたとしても本社に報告すれば上司が警告を受ける体制になっているため、基本的には有給休暇を拒否されることはありません。

女性MRの働きやすさについては、非常に制度が整っています。例えば、結婚している女性MRであれば配偶者の転勤に伴って、ほぼ確実に希望地への転勤が叶うマリッジトランスファー制度があります。また、夫婦で同じ地域に異動できる制度もあります。

産休や育休はもちろんのこと、時短勤務制度を整えており、このためかバイエルでは女性MRとして活躍している人は比較的多いです。

女性プロジェクトも推進されており、女性チームリーダーや女性管理職を含め、女性MRの活躍の場を増やそうとしています。そのため、能力が同じである男女がいた場合、女性の方が抜擢されやすいです。

バイエル薬品による不祥事

バイエルの日本法人「バイエル薬品」はかつて不祥事を行ったことがあります。不祥事は営業活動の中で起こるため、MRとして活躍する以上はこうした不祥事について知っておく必要があります。その内容は以下のとおりです。

宮城県の診療所で抗凝固薬イグザレルトに対するアンケートが実施されました。このアンケートには、イグザレルトの他に他社の抗凝固薬の服用回数を含めた調査内容も記載されていました。

そうした中、営業社員の3人は「患者アンケート200人分の一部」を患者さんの同意なしに医師から閲覧させてもらい、無断で書き写したとされています。カルテにはがんや認知症など他の病歴もあり、個人情報保護の観点でも、MRとして適正な情報提供を行う立場としても大きな問題がありました。

なお、この事件は社員からの内部告発で明らかになりました。

バイエルの主要製品

循環器領域に強みをもつバイエルですが、抗がん剤(オンコロジー)や眼科でも薬を保有しています。

いくつも新薬が出る会社ではないものの、特定の分野では多くのシェアを獲得している薬があります。そうした薬は医師からの信頼も厚く、長く活用されています。

循環器

アスピリンを開発した会社であることから、古くから循環器領域で大きな存在感を発揮している会社がバイエルです。

・高血圧治療薬:アダラート(一般名:ニフェジピン)

高血圧治療薬の中でも、強力に血圧を下げる薬としてカルシウム拮抗薬が知られています。カルシウム拮抗薬は血管を拡張させ、これによって降圧効果を得ることができます。

アダラートはカルシウム拮抗薬であり、現在では徐放製剤(体内でゆっくり溶け出す薬)であるアダラートLやアダラートCRとして主に利用されています。狭心症を治療する薬としてもアダラートは有効です。

・抗血小板薬:バイアスピリン(一般名:アスピリン)

解熱鎮痛剤として多用されるアスピリンですが、低用量(少ない量)で使用すると血液サラサラ作用を得られることが分かっています。そこで、低用量アスピリンとして抗血小板作用を得るために活用される薬がバイアスピリンです。

血栓が生成され、これが血管を詰まらせると体に障害がもたらされます。そこで血液が固まる過程を阻害し、血栓が作られにくくする薬がバイアスピリンです。

・抗凝固薬:イグザレルト(一般名:リバーロキサバン)

不整脈の中に心房細動があり、心房細動では心臓が細かく震えることでうまく血液を全身に送り出せない状態に陥ります。心房細動を発症すると血流が滞るため、大きな血栓を生成することがあります。このときの血栓が心臓を詰まらせると心筋梗塞を起こし、脳血管を詰まらせると脳梗塞を発症します。

そこで、血栓の生成を防止するために服用する薬がイグザレルトです。血が固まる過程を抑えることで、心筋梗塞や脳梗塞などの発症を予防します。

抗がん剤(オンコロジー)

バイエルは抗がん剤も取り扱っています。そのため、オンコロジーMRとして活躍することも可能です。

・キナーゼ阻害薬:ネクサバール(一般名:ソラフェニブ)

がんは日本人の死因第一位であり、多くの人が罹る病気です。こうしたがん疾患に対して、腎臓がんや肝臓がん、甲状腺がんなどの治療に用いられる薬がネクサバールです。

がん細胞が増殖するとき、効率的に栄養を得るために自分(がん細胞)のところへ新たに血管を作ろうとします。これを血管新生といいますが、ネクサバールは血管新生を阻害することでがん細胞への栄養を断ち切るようにします。

・キナーゼ阻害薬:スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)

抗がん剤として活用されるスチバーガですが、この薬は大腸がんなどを治療するために活用されます。

血管新生の阻害作用だけでなく、スチバーガでは腫瘍形成や腫瘍微小環境(がん細胞が成長する環境)などを阻害することによって、さまざまな働きによる抗がん作用を示します。多くの阻害作用を示すことから、マルチキナーゼ阻害薬と呼ばれています。

眼科

目の病気を治療する薬についても、バイエルは有効な薬を保有しています。

・加齢黄斑変性治療薬:アイリーア(一般名:アフリベルセプト)

目の組織である黄斑(おうはん)という組織が加齢とともにダメージを受け、視力が低下してくる病気として加齢黄斑変性があります。加齢黄斑変性では目に脆弱な血管が作られ、これが壊れることで目がダメージを負います。そこで、血管新生を阻害することで加齢黄斑変性による症状悪化を防ぎます。

アイリーアは加齢黄斑変性だけでなく、黄斑浮腫にも有効です。例えば糖尿病によって黄斑部に浮腫(むくみ)を生じ、これによって視力低下を招く黄斑浮腫を防止するのです。

その他

他にも、バイエルはさまざまな薬を創出しています。この中には、ED治療薬があります。

・ED治療薬:レビトラ(一般名:バルデナフィル)

年齢を重ねると共に勃起不全(ED)に悩む男性が増えてきます。そうしたEDを改善するため、勃起不全改善薬が活用されます。こうした薬としてレビトラがあります。

EDに悩む男性に対して、レビトラは広く活用されています。

バイエルのMRへ転職し、活躍するための準備をする

外資系の製薬会社ではあるものの、実力主義ではなく営業での成果についてもうるさくいわれない会社がバイエルです。外資系ではあっても、その企業体質の中身は日本企業のような形態になっています。

プライベートの充実やライフワークバランスを含め、MRとしての働きやすさを考えるとバイエルは非常に優れた製薬会社です。女性MRにとっても、結婚後や出産後も働きやすい環境が整えられています。

ただ、MRとして大きな成果を出せる人にとっては年収が他の人と変わらないので不満を覚えやすいです。前述の通り新薬が次々と出される会社ではないため、基本は同じ薬を長く売るMR活動になります。

そうはいっても、外資系製薬会社の中でも働きやすい環境を整えているのがバイエルです。MRとして中途採用の求人へ応募する場合、ここまで述べてきたことを理解したうえで志望動機を考え、転職面接に臨むようにしてください。


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