製薬会社のMRは営業職であるため、自社製品を売らなければいけません。このとき不可欠になるのが「医師と人間関係を構築する」というものです。信頼関係を築くことができれば、何もしなくてもあなたから商品が売れていくようになります。

相手から信頼してもらうための第一歩として、「会う」ことが挙げられます。ただ、医師と簡単に会えるケースばかりではありません。そうしたときであっても、より効率的に信頼してもらえるように行動することで、戦略的に人間関係を構築する必要があります。

そこで、「どのように行動すれば、医師から信頼してもらえるのか」について紹介していきます。

会う回数が重視される理由

MRが成果を出すためには、どれだけ医師と会えるのかが重要視されています。得意先を訪問する回数をコール数といいますが、コール数を多くするほど営業成績が向上するといわれています。

なぜ、営業の現場でコール数が重要視されるのでしょうか。それは、「接触回数が多くなるほど、人は好意を抱きやすくなる」ことが分かっているからです。これには名前がついており、ザイオンス効果(単純接触効果)といわれています。

例えば、普段何気なく通っているスーパーやテレビCMなどで何度も流れている音楽を聞いたとき、ついその音楽を口ずさんでしまったことはないでしょうか。または、学生時代のときに最初は特段何とも思っていなかった人のことを、いつの間にか好きになってしまったことはないでしょうか。

これは、特定のものに対して何度も触れることによって、好意を抱いてしまったからです。ザイオンス効果は人に限らず、物や音楽などであっても同様に当てはまる普遍的な法則です。

ザイオンス効果があるため、営業活動ではコール数が重視されます。あなたが得意先に訪問する回数が多いほど、それだけ医師から信頼してもらいやすくなるのです。

まったく訪問しないMRの行動は、医師が「あのMRは訪問しないし、薬を他社の処方に切り替えよう」と考える十分な理由になります。ただ、熱意をもって何度も訪問してくれているMRに対しては、「頑張って私のために活動してくれているため、少しは話を聞いてみよう」と考えてくれる可能性が高まります。

こうしたことから、MRが医師と信頼関係を構築する第一歩は「訪問する(=コール数を増やす)」ことだといえます。

長く話をするよりも、会う回数を多くするべき

医師と会うとき、「濃い話を1回すれば十分なのでは」と考えてしまうかもしれません。これについてはどうなのでしょうか。

確かに、医師に必要な情報を提供するという意味であれば、濃い話をしてその中で用件だけを伝えれば問題ありません。ただ、実際のところ話を短く切り上げ、会う回数を多くする方が相手はあなたに対して好感をもちやすいです。

つまり、「1時間で1回会う」よりも、「20分にわけて3回会う」という方がより信頼関係を構築することができるのです。

もちろん、医師は多忙を極めるのでアポイントを取ろうとしたとしても簡単に会ってくれるわけではありません。ただ、何とかして医師にアプローチできないかを考えてみてください。

手紙やメールを活用するべき理由

なお、「コール数を増やす」などについては、どのMRも意識して行っている当たり前のことです。ただ、同じようにコール数を増やしたとしても、成果の出るMRと営業成績の悪いMRに分かれます。この違いはどこにあるのでしょうか。

当たり前ですが、ただ会えば良いというわけではありません。会う回数が増えれば自動的に新規採用や処方増につながるほど簡単ではないため、もっと営業の方法について深く理解する必要があります。

まず、コール数を考えるとき、医師と対面で会うことばかりを考えるMRがいます。ただ、ザイオンス効果は対面で会うときだけに有効なのではありません。

医師と接触する方法としては、実際に訪問することに限りません。例えば、メールを送って医師がそのメールを開き、「あなたが送信したメール」であることを認識すれば、メールを介して医師との接触に成功したといえます。

他にも、手紙があります。例えば、初めて医師を訪問した後、すぐに手紙を出して1~2日後に医師がその内容を読めば、あなたは訪問していないにも関わらず手紙を介して医師と接触したことになります。

メール、手紙、電話、スタッフからの口伝えなど、医師とコミュニケーションを取る手段はいくらでもあります。営業成績の優れたMRであるほど、こうした「直接的な訪問以外の方法」もフル活用しています。

例えば、医師と面会した後にお礼のメールを出せば、「実際の訪問」と「メール」によって2回も医師にアプローチできているといえます。医師と接触回数を増やすにはどうすればいいのかを考えることがMRとして重要です。

医師の時間に合わせる

ただ、そうはいっても医師と直接会うことは必ず意識しましょう。いくらメールや手紙が有効だとはいっても、実際に会って話すことが最も信頼してもらいやすいためです。

それでは、どのようにして会えばいいのでしょうか。医師は通常診療の時間があり、その間は基本的に会ってくれません。患者さんが途切れたときは会ってくれますが、混んでいるときに会ってくれることは考えない方が良いでしょう。

また、病院や手術施設のあるクリニックであると、急な診察や手術の予定が入ってしまうことがあります。そうなると、事前にアポイントを取っていたとしても予定が飛んでしまうことがあります。

大病院など大きな施設になると、MRの訪問規制が厳しくなるのでさらに困難を極めます。

そうした事情があるのでMRは医師と会いにくいのが現状ですが、会うための工夫をしなければいけません。そのために最初に理解すべきは「時間」です。

例えば急性期病院に勤める医師であれば、「NPO法人 医療制度研究会 医師の勤務状況調査」によると、朝7:00よりも前に出勤する医師の割合は約3割ほどです。また、朝7:00~8:00に出勤する人は5割ほどです。

こうしたことを考えると、「会社の始業時間が8:30なので、その時間から営業活動をすればいい」と考えているMRはいつまで経っても医師に会うことはできません。自分の都合ばかりを押し付け、医師の時間に合わせようと考えていないからです。

早朝から医師に会う努力をするMRは成績が向上する

情熱のあるMRであれば、早朝から病院やクリニックの前に立って医師を待っています。そうして医師と会うことで、ようやく話を聞いてもらえるようになります。

例えば、早朝に何度も医師と会うために訪問していればどうでしょうか。最初、医師としては「朝早くから立っていて面倒だ」と思われるかもしれません。ただ、何度も顔を合わせていると「これだけ朝早くから私のために待ってくれているのに、ずっと無視し続けるのは悪い」と心が変化してきます。

そのようになれば、話を聞いてくれる可能性が高まります。営業マンとしてどれだけ医師の時間に合わせて行動できるのかを意識するようにしましょう。

他のMRと同じ行動の人は成績が悪い

いくらコール数を増やしても営業成績が向上しないのは、明確な理由があります。それは、「他のMRと同じことをしている」からです。もっといえば、MRとしての努力が足りないといえます。

他社MRとは違うことを実践するからこそ、医師にとって特別なMRになるのです。当然、自分の都合ばかりを押し付けているようでは営業成績は悪いままです。

また、朝以外であれば、医師と会うチャンスとしては一般的に昼休憩の時間か診察が終わった夕方以降です。

しかし、この時間も医師は落ち着いているわけではなく、他の仕事があります。また、このときに何人ものMRがズラッと並ぶようなことがあります。忙しいときに押しかけ、一方的に薬の説明をするMRは医師の時間を無駄に奪っているといえます。

そこで、次の手術のために急いで準備をする必要があったり、学会発表の資料整理のために時間を使いたかったりするとき、医師にとって休憩時間であったとしても、その時間に医師と面会するのは避けた方がいいです。

「非常にお忙しい様子でしたので後日に伺わせていただきます」などのように名刺へ書き、それを残して立ち去る方が好印象を与えることはよくあります。相手の立場を考えて、自分の都合を押し付けないようにすると相手の心証は良くなります。

また、医師によって会える曜日が決まっていることがあります。他には、メールでないとアポイントを取ることができなかったり、電話でなければ会う約束ができなかったりと医師によってルールが異なります。こうしたルールを理解したうえで、医師に合わせた営業活動をしなければいけません。

趣味を増やし、プライベートを過ごす

なお、他人と人間関係を築くうえでもっとも手っ取り早く、強力な効果を得られる方法を知っているでしょうか。それは、「どうでもいい時間を一緒に過ごす」というものです。もっといえば、プライベートの時間を共有するのです。

現在は接待やゴルフが禁止されているため、医師と接点をもつ機会はかなり減っています。ただ、医師と接点をもつすべての行為が禁止されたわけではありません。

例えば、あなたの趣味がマラソンだったとして、同じくマラソンが趣味の医師がいたとき、「たまたま」同じマラソン大会へエントリーして出場するのは何も問題ありません。

また、場合によっては同じ歌手のファンであることがわかり、「たまたま」同じコンサート会場で一緒に盛り上げることがあるかもしれません。

仕事とは関係なく、完全なるプライベートの時間を医師と過ごすのです。医師とMRという関係ではあっても、一人の友人として時間を過ごすのです。こうした場面を設ければ、簡単に医師と信頼関係を築くことができます。

自分を優先する人はMRに向いていない

医師の時間に合わせたり、プライベートの時間を共有したりするとなると、当然ながら相手の都合に合わせることになります。もし、そうしたことが嫌な場合、MRに向いていないといえます。

もっといえば、すべての営業職に向いていません。

営業職の本質というのは、相手のニーズ(=悩み)を引き出した後、自社製品によってその悩みを解決して喜ばれることにあります。

ただ、人間関係を作れておらず、心を許していない相手に自分の悩みを打ち明けることはありません。医師に信頼してもらっているからこそ、日々の診療や学会、医局、経営を含めて相談してくれるようになるのです。

そうした相談を受け、解決策を提案できない人はMRの仕事をやり遂げていないといえます。相手に信頼してもらうのは営業職として必須の過程であるため、自分を優先して相手のことを考えられない場合、営業成績は悪いままだといえます。

医師とプライベートの時間を過ごすとき、これを仕事だとドライに捉える人はMRを続けるのは難しいです。その場合、MR経験を活かして他の職業へ転職することを考えましょう。

ただ、トップMRであるほど、医師と共有する時間を楽しんでいます。一緒にマラソン大会に出たりテニスをしたりするとき、趣味が一つ増えたと考えます。コンサートチケットを取ってライブに出かけるにしても、他の友人と一緒に行っているときと同じように過ごします。

あなたが楽しんでいない場合、それは相手に伝わります。本気で楽しんでいるからこそ、医師はあなたのことを信頼してくれるようになるのです。

運動好きの人であれば、スポーツに関わることであれば積極的に医師と交流してみましょう。音楽が好きな場合、バンド活動やコンサートへの参加を含め、医師と接点をもてるはずです。旅行好きな人であっても、医師と旅行について情報交換するだけでも話が盛り上がるはずです。

どうしても嫌な場合は断る

ただ、人には好き嫌いがあるものです。医師の時間に合わせて行動するのは当然だとしても、一緒に無駄な時間を過ごすときにどうしても気が乗らないことがあると思います。

例えば、まったく泳げないにも関わらず、医師から「沖縄の海でダイビングをする企画」に誘われて参加したら、本人にとって地獄です。また、下手に参加してしまったら周囲の人に迷惑をかけてしまいます。

少しでも興味をもてる場合、積極的に参加した方が良いです。ただ、どうしても嫌な場合は断るようにしましょう。このとき、代替案を用意できればさらに良いです。「沖縄ツアーであっても、海で泳ぐ企画がない場合はぜひ参加させてください」などのように言うのです。

自分が興味をもてる範囲で無理なく行動するといいです。

「自分の業界は特殊」という勘違いを捨てる

ここまで、どのようにしてMRが医師と良い人間関係を構築するのかについて確認してきました。ただ、実はここまで述べてきたことは製薬業界に限らず、あらゆる業界の営業活動に共通することだという事実を認識しなければいけません。

よく、MRは特殊な業界だという人がいます。医師や薬剤師という医療の専門家に対して、MR(医療の素人)が営業を展開する必要があります。また、MRが患者さんに直接薬を売るわけではなく、医師を介して薬が売れていきます。

そうした現状から、MR業界は特殊だというのです。

ただ、本当に製薬業界は特殊なのでしょうか。確かに医療業界特有の仕組みは存在しますが、実際のところ一般的なビジネス構造と変わりはありません。自分の業界を特殊だと考えるのは勝手ですが、自分の営業成績が悪い理由を「製薬業界は特殊だから」にすり替えてはいけません。

例えば、出版社はどのようにして本を売っているかというと、自ら本を売っているわけではありません。書店に本を置いてもらい、代わりに売ってもらっています。営業する相手は一般顧客ではなく、書店員という専門家です。

また、化粧品はどうでしょうか。百貨店の一階などでは化粧品コーナーが設けられていますが、一般顧客に販売するのは化粧について熟知している専門の店員です。自社の代わりに化粧品を販売してもらうことで、大きな利益を出せるようになっています。

このように考えると、「専門家に説明することで代わりに売ってもらう」というビジネスモデルは普通だと分かります。これらを認識した上で、MRは専門家である医師に信頼してもらい、自社商品を代わりにたくさん売ってもらうことを考えなければいけません。

相手の心に入るMRになる

信頼関係を築くとは、「相手の心に入る」ことでもあります。特にMRの場合、そこまで大きな特徴のない新薬が発売され、何とかして売ってこなければいけないことがあります。そうしたとき、MRの実力が試されます。

画期的な新薬の場合、何もしなくても売れていきます。ただ現実的には、そうしたことはほぼありません。多くの場合、薬の性能であまり差のないケースがほとんどです。

そうしたとき、MR活動の内容が営業成績に大きく反映されます。訪問規制があったり、医師にプレゼントを送れないなどの制約はあったりしても、医師にアプローチする方法はいくらでもあります。

「朝一番に面会する」「医師だけでなく、その家族を含め誕生日を覚えている」「マラソンなど趣味を共有する」「講演会を依頼する」など、アイディアの数だけ方法を思いつけるようになります。

MRによる提案によって何かしらの差別化を図ることで、ようやく医師は心を開いてくれるようになります。こうしたことを理解し、自分の都合ではなく、医師の都合を考えたうえで信頼関係を築けるように営業活動をしてみてください。そうすれば、トップMRの仲間入りを果たせるようになります。


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特に製薬業界の場合、情報を表に出せないので非公開求人となっていることがほとんどです。そのため、MRの転職では転職サイトの活用が必須です。

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