外資系の大手製薬会社としてブリストル・マイヤーズ・スクイブがあります。アメリカのニューヨーク州に本社を置く会社です。

ブリストル・マイヤーズ・スクイブの日本法人がブリストル・マイヤーズであり、抗がん剤や感染症の分野で優れた医薬品を保有しています。MRとしてブリストル・マイヤーズに転職する場合、こうした薬をプロモーションすることになります。

ただ、中途採用の求人へ応募して採用されるためには、企業ごとの特徴を理解したうえで申し込まなければいけません。製薬会社によって特徴が異なるため、ブリストル・マイヤーズがどのような会社なのかについて確認していく必要があるのです。

ブリストル・マイヤーズ・スクイブの歴史

製薬会社の特徴を理解するとき、会社の歴史を学ぶことは非常に重要です。製薬会社によって得意とする分野があり、それは会社の歴史を知ることで把握できるようになります。

米国本社のブリストル・マイヤーズ・スクイブはブリストル・マイヤーズとスクイブが合併してできた会社です。その歴史は古く、製薬会社の中でも伝統ある会社です。

ブリストル・マイヤーズの歴史

1887年、ウィリアム・マクラーレン・ブリストルとジョン・リプレイ・マイヤーズにより、クリントン・ファーマシューティカル・カンパニーが作られました。

このとき、医薬品を製造するための工場は小さなビルの2階にある研究スペースだったといいます。その後、1895年に便秘薬「Sal Hepatica」を販売し、これが主力製品になりました。

会社の名前をブリストル・マイヤーズ・カンパニーに改めた後、消毒剤入りの歯磨き粉を発売したり、デオドラント剤の会社を買収したりして日用品の分野でも存在感を発揮するようになります。このとき、医薬品会社というよりも日用品会社となっていました。

そうした中、1943年に発酵技術に強みをもつケプリン・ラボラトリーズを買収します。これによって抗生物質ペニシリンの大量生産を行えるようになり、ここから再び医薬品会社へと舵取りをするようになります。

また、発酵技術(バイオ技術)を用いた医療用医薬品の研究開発も行うようになりました。

その後、1948年には持続型インスリン注射剤を開発したり、解熱鎮痛剤であるバファリンを発売したりします。

1956年には抗がん剤の開発に乗り出し、がん治療薬を保有する会社を買収するなど抗がん剤の開発にも意欲を見せます。1974年には扁平上皮がん、頭頸部がんなどに用いられる抗がん剤「Blenoxane」を販売し、大きな影響を与えました。

また、初の白金製剤「Platinol」を発売したのもブリストル・マイヤーズ社です。白金製剤は抗がん剤として現在でも広く用いられていますが、その作用にいち早く着目したのです。

スクイブの歴史

1858年、エドワード・ロビンソン・スクイブはアメリカのニューヨーク州で小さな研究所を開設しました。これが、スクイブ社の始まりだとされています。このとき、同時に医薬品の製造を開始します。

スクイブが追求したのは、医薬品の品質です。当時は不良医薬品が大量に出回っていたため、製薬業界に品質管理の概念を導入したのです。

そうしてスクイブ社はバイオ技術の分野で大きな存在感を示すようになります。

1914年、スクイブ社の生物学研究室では抗毒素、血清、ワクチンが製造されるようになりました。これにより、感染症を防ぐことで多くの人の命を救うようになりました。

また、心不全治療薬として利用されるジギタリス製剤に着目し、1917年に医薬品化への道を切り開いたのもスクイブ社です。現在でもジギタリス製剤は医療現場で広く用いられています。

1967年にはスクイブ社にとって初の抗がん剤であるヒドロキシウレアが開発されます。代謝拮抗薬と呼ばれ、白血病治療薬などとして用いられる薬です。

ジギタリス製剤で循環器領域でも強みをもっていたことから、スクイブ社は高血圧治療薬カプトリル(一般名:カプトプリル)を発売します。ACE阻害薬と呼ばれる高血圧治療薬ですが、初のACE阻害薬として高血圧治療に革命をもたらすほどの影響を与えました。

ブリストル・マイヤーズ・スクイブの歴史

そうした中、ブリストル・マイヤーズ社とスクイブ社が合併し、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ カンパニーが誕生しました。新会社が誕生した後、最初に発売した新薬は白金製剤の抗がん剤パラプラチン(一般名:カルボプラチン)です。

その後もブリストル・マイヤーズ・スクイブは多くの新薬を開発します。

2005年にはB型肝炎治療薬として活用されているバラクルード(一般名:エンテカビル)が米国やEUで承認されます。

また、バイオ技術を活かして抗体医薬品であるオレンシア(一般名:アバタセプト)も2005年に承認されています。オレンシアは関節リウマチの治療薬であり、関節リウマチの症状を劇的に改善させることができます。

2006年には白血病治療薬スプリセル(一般名:ダサチニブ)が承認されます。分子標的薬と呼ばれる種類の薬であり、慢性骨髄性白血病の症状を強力に抑えることができます。

また、循環器領域に強みをもっていることは今でも変わらず、ファイザー社と協力して2011年にエリキュース(一般名:アピキサバン)がヨーロッパで承認されます。

ブリストル・マイヤーズ・スクイブはC型肝炎の治療でも大きな影響を与えており、それまでC型肝炎では「インターフェロンフリーとリバビリンという薬を併用する」という治療方法が一般的でした。そうした中、インターフェロンもリバビリンもなしでC型肝炎を治療する新薬を発売したのです。

このように、ブリストル・マイヤーズ・スクイブではこれまでの歴史から循環器領域や抗がん剤、抗ウイルス剤などで強みをもっている会社といえます。

なお、抗がん剤やウイルス薬で知られているブリストル・マイヤーズ・スクイブですが、糖尿病治療薬の分野でも広く貢献しています。例えば、DPP-4阻害薬オングリザ(一般名:サキサグリプチン)やSGLT2阻害薬フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)を創出した会社は、このブリストル・マイヤーズ・スクイブです。

なお、糖尿病の新薬販売については、他の製薬会社が行っています。

ブリストル・マイヤーズでのMRの営業評価

それでは、ブリストル・マイヤーズのMRとして転職するときの営業評価はどのようになっているのでしょうか。

MRとして活動するとき、ブリストル・マイヤーズではその年の営業成績によってボーナス額が大きく変わってきます。成果を出せばそれだけ評価されるため、ある意味フェアだといえます。

ただ、会社の業績によってインセンティブが非常に少ないときもあり、こうしたときはどれだけ個人で成績を上げていても年収に反映されないことがあります。

なお、ブリストル・マイヤーズでは中途採用の社員が多いため、転職組として会社で働くことになったとしても問題なく溶け込むことができます。

しかし、教育体制がしっかりしているというわけではありません。基本的には自己裁量による部分が大きいため、自ら考えながら営業活動を展開していく必要があります。

ブリストル・マイヤーズの特色・評判

製薬会社の中では、ブリストル・マイヤーズの年収は平均的です。ただ、注意点として「日当がない」ことを忘れてはいけません。

多くの製薬会社では営業日当が支払われ、このときの日当は非課税です。日当が3000円で20日働くとなると、月6万円(年間72万円)の税金なしの副収入を得られるため、これがないことを考えるとブリストル・マイヤーズの実質給料は若干低めだといえます。

また、世界的な大会社で画期的な新薬をいくつも保有しているものの、製薬会社の中では知名度が低いです。そのため、MR活動のときに苦労することがあります。

医薬品卸(特約店)との連携も少ないため、MS(医薬品卸の営業)に頼ることなく自ら薬を売っていく必要もあります。

医薬品卸との関わりが少ないことについては、面倒な人間関係や交渉がないのでメリットだと考える人がいれば、自社の薬を代わりに売ってくれるMSとの関わりをもてないので成績が伸びにくいとデメリットに考える人もいます。

これについては人によって意見が異なるものの、いずれにしても時間的な束縛は非常に少ない会社です。

なお、多くの製薬会社に共通しますが女性MRに対しては産休・育休や勤務地の調節を含め、優遇されやすいです。同じ成績の男性社員と女性社員がいた場合、女性MRの方が昇格しやすいです。

有給休暇は非常に取得しやすく、基本的に断られることはありません。MSの在籍する医薬品卸へ出向く人も少なく、他のMRに比べて時間的な自由はかなり多いです。

ブリストル・マイヤーズの主要製品

低分子医薬品を取り扱っているものの、ブリストル・マイヤーズはバイオファーマとしての側面が強いです。主に肝炎、循環器、関節リウマチ、抗がん剤の分野で新薬を取り扱っています。

肝炎

B型肝炎やC型肝炎など、肝臓が関わる疾患は肝硬変や肝がんへと移行するので重大な疾患の一つといえます。

・バラクルード(一般名:エンテカビル)

B型肝炎はウイルスによって引き起こされます。B型肝炎ウイルスによって病気を生じるのです。そこでB型肝炎ウイルスを退治すれば、病気の症状を抑えることができます。

バラクルードはB型肝炎ウイルスの遺伝子が複製される過程に作用することで、ウイルスの増殖を抑える薬です。これにより、B型肝炎の症状を抑制します。

・ダクルインザ(一般名:ダクラタスビル)

・スンベプラ(一般名:アスナプレビル)

前述の通り、C型肝炎を治療するときは「インターフェロン+リバビリン」という薬を併用するのが一般的でした。そうした中、インターフェロンもリバビリンも不要の薬として、ダクルインザとスンベプラが登場しました。

ダクルインザとスンベプラは併用して用います。C型肝炎ウイルスの遺伝子増殖や細胞シグナルに関わる過程を阻害することにより、C型肝炎ウイルスの増殖を抑えることで感染症を治療する薬です。

循環器

かつてジギタリス製剤に着目して心不全治療薬を開発していた経緯から、ブリストル・マイヤーズは循環器領域にも強みをもっています。

・エリキュース(一般名:アピキサバン)

不整脈の一つとして心房細動があります。心房細動では、心臓が細かく震えることで血液を全身にうまく送り出せなくなっている状態のことを指します。こうなると血流が滞り、大きな血栓を生じる可能性があります。血栓が脳を詰まらせると脳梗塞となり、心臓の血管を詰まらせると心筋梗塞を発症します。

そこで、血液をサラサラにすることで血を固まりにくくさせ、血栓の生成を防止する薬がエリキュースです。エリキュースを服用することで、脳梗塞や心筋梗塞を予防します。

関節リウマチ

自己免疫疾患の一つとして関節リウマチがあります。関節リウマチでは関節に痛みを生じるなど、日常生活が困難になります。

・オレンシア(一般名:アバタセプト)

免疫の働きが過剰になり、自分自身を攻撃してしまうことで関節リウマチを発症します。特にこうした免疫疾患に深く関わっている細胞にT細胞があり、T細胞が関与することで抗体が作られたり炎症が起こったりします。

そこで、T細胞の働きを抑えることで関節リウマチの症状を抑制する薬がオレンシアです。オレンシアは生物学的製剤と呼ばれるバイオ医薬品であり、長期にわたって関節リウマチによる炎症を強力に抑えます。

抗がん剤(オンコロジー)

ブリストル・マイヤーズは多くの抗がん剤を取り扱っています。抗がん剤領域をオンコロジーといいますが、ブリストル・マイヤーズではオンコロジーMRとして活躍することもできます。

・スプリセル(一般名:ダサチニブ)

白血病の一つとして、慢性骨髄性白血病があります。かつて、慢性骨髄性白血病は発症すると10年以内の死亡率が100%の病気でした。ただ、分子標的薬と呼ばれる医薬品が開発されるようになってからは、慢性骨髄性白血病は死の病気ではなくなりました。

スプリセルはそうした分子標的薬の一つであり、慢性骨髄性白血病の症状を劇的に抑える働きがあります。慢性骨髄性白血病の治療薬としてはイマチニブが有名です。スプリセルでは、イマチニブの効果が弱くなった「イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病」に対しても効果を示します。

・ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)

私たちの細胞では、常にがん細胞が作られています。それにも関わらずがんを発症しないのは、免疫によってがん細胞が駆除されているからです。そのため、免疫の働きを活発にさせることができればがんを治療できます。

がん細胞には、T細胞(がんを認識して細胞死へと導く細胞)の働きを抑える機構が存在します。そこで、こうした「がん細胞による免疫回避の機構」を抑制できれば免疫細胞が正常に働くようになります。ヤーボイは「がん細胞の免疫回避機構の抑制」により、T細胞の働きを活発にさせることで、がんを治療します。

・オプジーボ(一般名:ニボルマブ)

前述の通り、がん細胞を排除するときに免疫システムが重要になります。ヤーボイと同じように、「免疫にがん細胞を正常に認識させるようにする」ことでがんを治療する薬がオプジーボです。

ヤーボイとは作用機序が異なるため、オプジーボとヤーボイを併用することで相乗効果を得ることができます。

ブリストル・マイヤーズのMRへ転職し、活躍するための準備をする

中途採用のMRが比較的多いことから、ブリストル・マイヤーズのMRへ転職することを考える人は多いです。世界的な大企業であるにも関わらず知名度は低いものの、他社にはない画期的新薬を保有している会社であるため、MR活動の方法によっては大きな成果を残すことができます。

医薬品卸への訪問がほとんどなく、自己裁量によるMR活動を実現でき、コンプライアンスが厳しいので接待を含めた活動がなく、ワークライフバランスを実現しやすい会社がブリストル・マイヤーズです。

もちろん外資系製薬会社であるため、営業成績がボーナス額に大きく反映されるなどの側面があります。

ただ、インセンティブの額が大きいにも関わらず、MR放置が基本の会社なので数字(ノルマ)に対してはそこまでうるさくありません。そういう意味では、MR活動に伴うストレスは少ないです。

このような特徴をもっている会社がブリストル・マイヤーズです。会社の求人へ応募して採用されるためには、企業研究をしたうえで志望動機を考えて面接に臨む必要があります。そのため、ここまでのことを理解したうえでMR転職で採用されるように戦略を考えましょう。


MR転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

MRが転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人で求人活動を進めた場合、頑張っても1~2社へのアプローチに終わってしまいます。さらに、自分だけで労働条件や年収、勤務地の交渉まで行わなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに依頼すれば、これまでの企業とのつながりから最適の求人を選択できるだけでなく、あなたに代わって年収や福利厚生を含めてすべての交渉を行ってくれます。

特に製薬業界の場合、情報を表に出せないので非公開求人となっていることがほとんどです。そのため、MRの転職では転職サイトの活用が必須です。

ただ、転職サイトによって「外資系に強い」「中小の求人が多い」など特徴が異なり、保有している会社の求人が違ってきます。そのため複数の転職サイトを利用する必要があります。

以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれ転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができるようになります。

注目の人気記事

・転職サイトを活用したMR転職の体験談

MRとして活動するうえで、私自身も転職活動をしたことがあります。このときは転職サイト(転職エージェント)を利用したため、そのときの実体験や方法を踏まえ、失敗しない転職について紹介します。

管理人による転職体験記

・営業成績が優れたトップMRとして活躍する秘訣

同じようにMRで働くのであれば、営業成績の高いトップMRとして活躍する方が良いです。トップMRの行動を真似すれば、大きな成果を出せるようになります。実際に2500人の中で1位の成績になったMRを取材したため、その内容を記します。

トップMRになる方法

・MR転職サイトのお勧めランキング

MRの転職サイトはそれぞれ特徴があります。「35歳以下でしか応募できない」「MR経験者のみ応募可能」「MR未経験者でもOK」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

お勧め転職サイトランキング