漢方薬に特化して販売をしている日本の企業としてツムラがあります。医療用医薬品での漢方では、ツムラがトップメーカーです。

漢方薬は他社が真似できない分野です。医療用医薬品の中で漢方薬を主に取り扱っているのはツムラくらいであるため、今後も漢方薬をほぼ独占して販売することになります。

MRとしての転職を考えたとき、ツムラへの転職を検討する人もいます。面接で採用されるためには、ツムラの特徴について理解する必要があります。そこで、ツムラの考え方や強みについてより詳しく確認していきます。

ツムラの歴史

会社の特徴を学ぶとき、歴史を知ることが最も重要です。会社の歴史から、どのような強みがあるのかようやく分かるようになります。

1893年、津村重舎が津村順天堂を創業したことからツムラの歴史が始まります。当時は中将湯(ちゅうじょうとう)という婦人科向けの漢方薬を販売していました。創業時から、ツムラは漢方薬を取り扱っていたのです。

なお、中将湯は更年期障害の治療薬として現在でも一般用医薬品で売られています。

創業の翌年、1894年には石炭酸軟膏(火傷・切傷薬)、龍眼水(ドイツ製目薬)、一服湯(感冒解熱薬)を取り扱います。また、日本初の入浴剤として浴剤中将湯を発売したのもツムラです。

大正時代に突入すると、西洋医学へと医療の目が傾き始めます。そうした中であっても、西洋薬ではなく和漢薬に着目して販売を続けていました。

1924年、津村順天堂は研究所と薬草園を創設します。西洋薬に傾いていた当時、生薬(しょうやく)を育て、その研究を行うことで漢方薬の権威を復活させるのに大きく貢献しました。

薬草園は終戦後には23万坪にもなったとされており、これは当時、東洋一の規模を誇っていました。GHQによる農地改革によって現在は残っていませんが、それだけ大規模の土地を活用して生薬研究を行っていたのです。

漢方薬以外の分野にも参入

ただ、意外にもツムラは漢方薬以外の分野に参入したこともあります。例えば、初代の津村重舎はアメリカやヨーロッパを視察したときに「喫茶コーナーを設けたドラッグストア」があることに驚きました。

そこで帰国後に喫茶部を創設して、本店で漢方薬を販売するかたわらレモンソーダーやミルクセーキなども売っていました。

現在、漢方を取り扱っている店の中には、手軽に店へ訪れてもらうように喫茶店を併設している店があります。そうした形態の店舗の中で、初めての喫茶店を併設させたのがツムラです。

また、終戦後の1948年には農薬「D-D」の輸入販売を開始します。農薬という全く新しい分野でしたが、これから日本の農業が発展すると睨んで参入しました。

なお、1950年には入浴剤のバスクリンを発売します。現在のツムラはこのような日用品を取り扱っていませんが、当時は医薬品に限らず幅広い生活用品を販売していました。

ツムラはこのときも主力製品は創業当時から販売していた中将湯です。中将湯がヒットしたため、現在のツムラがあるのです。

医療用の漢方薬へ参入

そうした中、一般用医薬品ではなく医療用医薬品としての漢方薬を1974年から販売することになりました。町中にあるドラッグストアではなく、医者からの処方によって手にすることのできる漢方薬を29処方そろえ、医療用漢方薬をスタートさせたのです。

医療用漢方製剤はその後も追加収載を受け、1987年には130処方までに拡大しています。現在では、医療用医薬品の漢方メーカーとしてツムラは独自の分野を切り開いています。

漢方薬は昔から経験的に活用されているものが多く、「なぜ効くのか」が分からない部分も多いです。そこで、大建中湯(だいけんちゅうとう)や六君子湯(りっくんしとう)の基礎研究で大きな成果をあげるなど、現在でも研究活動が続けられています。

ツムラでのMRの営業評価

西洋薬を取り扱う新薬メーカーではなく、ツムラはあくまでも医療用の漢方メーカーです。現在ではバスクリンなど日用品を取り扱う会社は完全なる別会社になっていますし、一般用医薬品ではなく医療用医薬品がメインです。

漢方薬である以上、新薬は出ません。そのため基本的には医師に漢方薬を啓もうすることで、処方数を増やすようにプロモーションしていくことがMRとしての役割です。

新薬が出ない以上、基本は同じ作業の繰り返しになりますが、漢方薬について理解していない医師は非常に多いことを認識しなければいけません。そうした医師に対して漢方薬の知識を授け、信用してもらうことができれば、漢方MRとして大きな成果を出すことができます。

一般的な西洋薬で治療がうまくいかない分野であっても、漢方薬であれば問題なく治療できるケースはたくさんあります。そうした症例に対して医師に情報提供することで信頼してもらうなど、他メーカーのMRとは違った角度からの営業活動が可能です。

ツムラの特色・評判

また、日本企業であり漢方薬ひとつだけで会社経営を行っているため、古い体質がそのまま残っています。良くも悪くも年功序列です。

数字(ノルマ)は他の製薬会社に比べてそこまで高いわけではありません。その年の実績によってボーナス額が何百万円も違うということはなく、基本的には全員一律で評価される典型的な日本企業だといえます。

有給休暇は取得しやすく、早めに申請すれば基本的に拒否されることはありません。これについては、どの製薬会社であっても同様です。

女性MRの数は少ないですが、女性MRであっても働きやすい環境が整っています。エリア範囲を限定して勤務することができますし、産休・育休は問題なく取得できます。土日についてもしっかり休むことのできるメーカーです。

年収については、製薬業界の中では低めです。新薬メーカーではないため、これについてはある程度仕方ないといえます。

このように漢方薬という特殊性は大きな強みですが、新薬がなく薬価改定によって薬の値段が下げられるのはかなりの弱みだといえます。

ツムラの主要製品

西洋薬の場合、時代の流れと共に画期的な新薬が生まれるので会社の主力製品は変わっていきます。ただ、漢方薬の場合は新薬がなく、古くからずっと使われ続けているロングセラー商品が主要製品になります。

その中でも、特に多用される漢方薬についていくつか紹介していきます。

・葛根湯(かっこんとう)

風邪薬の中でも、特に有名な漢方薬として葛根湯が知られています。かぜの初期に葛根湯が活用され、ゾクゾクした寒気や肩こり、頭痛などを生じている場合に有効です。

比較的体力のある人に向いている漢方薬です。

・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

水様の鼻水が出る症状に対して、小青竜湯が活用されます。水様の鼻水はかぜのときだけでなく、花粉症(アレルギー性鼻炎)でも頻繁に起こります。花粉症に対する漢方薬としては、小青竜湯が最も活用されます。

水様の鼻水を生じるケースで有効であるため、痰の切れにくいかぜや乾いた咳をするかぜ症状には向いていません。

・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

一般的には、病気を治療するときにまずは西洋薬が処方されます。ただ、西洋薬ではなく漢方薬の使用が第一選択薬になることがあります。そうしたものとして、芍薬甘草湯があります。

こむらがえり(足がつる症状)に対して、芍薬甘草湯は優れた効果を示します。こむらがえりには、筋弛緩剤などの西洋薬ではなく芍薬甘草湯が最初に処方されます。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

漢方薬が強みを発揮する分野として、婦人科領域があります。その中でも、当帰芍薬散は生理不順などを改善します。血の流れが滞ることを「お血(おけつ)」といいますが、当帰芍薬散はお血の状態を改善させて冷えや生理不順を治療します。

更年期障害の治療薬としても当帰芍薬散は有名です。色白であり、虚弱体質の人に当帰芍薬散が活用されます。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

虚弱体質で疲れやすかったり、元気がなかったりする症状に対して広く活用される漢方薬が補中益気湯です。「気」を補うことにより、元気を取り戻させるようにします。

虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振などが補中益気湯の適応です。

・六君子湯(りっくんしとう)

胃炎・胃痛、消化不良、食欲不振など胃の症状に対して広く活用される漢方薬として六君子湯が知られています。消化器症状で悩む人は多いため、そうしたときに活用されます。

やせ型で疲れやすく、顔色の悪い人に対して六君子湯が処方されます。

・五苓散(ごれいさん)

水分の停滞によって二日酔いや下痢、むくみなどの症状を生じることがあります。そうしたとき、水分の停滞を取り去ることで症状を改善させる薬が五苓散です。

漢方薬では、主にその人の体質を見極めたうえで処方されます。ただ、どのような体質の人であっても問題なく使用できる漢方薬が五苓散です。

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

ダイエット目的で多くの人に活用される漢方薬として防風通聖散が知られています。防風通聖散には肥満症の適応があり、太鼓腹の人に活用することで水分循環を改善させ、肥満症を正します。便通にも効果を示します。

いわゆるお腹の出た「太っている人」に有効な漢方薬であるため、普通体形の人が防風通聖散を活用したとしても効果はありません。

ツムラのMRへ転職し、活躍するための準備をする

このように漢方薬について少し説明しましたが、医療用医薬品で活用される漢方薬は100種類以上にわたるため、それぞれについて理解しておく必要があります。

漢方薬では「数値で表せない症状」に対して効果を表しやすいです。例えば高血圧や糖尿病の場合、血圧や血糖値など明確に数値で判断することができます。ただ、更年期障害や身体の疲れなどの体調不良は数値化できません。こうした領域では、漢方薬が強いです。

そのため、漢方薬は婦人科領域で広く活用されています。また、高齢者に対しても漢方薬は効果を示しやすいです。

ただ、医師や薬剤師などの医療関係者であっても漢方薬を深く理解している人は少ないです。そうした医療関係者に漢方薬の有効性を理解させ、処方拡大させることがツムラの漢方MRとして働く醍醐味だといえます。

ツムラの求人へ応募して転職する場合、志望動機を考えなければいけません。そうしたとき、面接で採用されるためにもここまで述べてきたことを理解したうえで転職に臨むようにしましょう。


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