MRとして活動をしていると、医師に怒られることがよくあります。医師は気難しい人が多く、こちらにはまったく非がなかったとしても激怒されたり出入り禁止になったりすることがあるのです。

そうしたとき、MR活動をすること自体に大きなストレスを感じてしまいます。MRは年収が高く有給休暇をいつでも取得でき、時間的な自由度も高い非常に優れた職業です。ただ、唯一の欠点として「精神的なストレスが大きい」ことがあります。

特に医師との人間関係は数字(ノルマ)を達成するうえで必要不可欠であり、医師を怒らせることで営業成績にも影響が出てきます。そのため、その後のアフターフォローが欠かせません。

そこで、医師を怒らせたり出入り禁止を言い渡されたりしたあと、「どのように考えてMRとして行動すればいいのか」について考えていきます。

なぜ、怒られたのかを考える

医師の先生が忙しくしているときに一方的に薬のPRをしたり、病院・クリニックのルールを破ったりしたとき、医師から怒られます。先生の治療方針を無視して薬の提案をしたときも同様に、怒られることがあります。

医師によって「怒るポイント」は異なります。ただ、多くの医師に共通しているのは、そのときの感情にまかせて激怒していることがあります。

同じ会社に属する営業の支店長であれば、目的があって意図的に怒ることがあります。ただ、医師でそこまで計算して怒る人は存在せず、基本的には感情が優先しているに過ぎません。

そのため、あなたにまったく非がなく誰がどう考えても医師側に責任や問題点があったときであっても怒られることがあります。

あなたの行動に問題があって医師を怒らせた場合であれば、その行動を改めたうえで謝るようにしましょう。このとき、弁解をしてはいけません。また、あなたに非がない場合であっても、同様に弁解せず謝るようにしましょう。

怒らせた後、謝るのは早いほどよいです。一人で謝罪に行くのか上司も同行するのかは上司の判断になりますが、いずれも上司に報告して3日以内に謝りに行くようにしましょう。

時間はかかるが会いにいって謝罪を続けるべき

誠意をもって謝罪をすれば、いつか必ず許してくれます。なぜなら、激怒した医師側も「あなたに対して感情的に怒ってしまった」ことを気にしているからです。

最初はあいさつをしても返事をしてくれないことは多いです。ただ、そうした場面を経験したとしても諦めずに通い続けてみてください。そうすれば、医師の方から「いまはどんな感じなの?」などのように声をかけてくれます。

この言葉をかけてもらったとき、医師に対しては「怒ってくれてありがとうございました」と感謝の言葉を述べるようにしましょう。「あのとき、先生が〇〇について叱ってくれたことで、△△ということに気づきました」のように言うのです。

明らかに医師側に非があるときは少し表現を変える必要があるものの、それでも相手に同調する姿勢が必要です。

そうした同調の言葉を投げかければ、医師の方からいろいろ話をしてくれるようになります。そうなれば、ほぼ関係は修復できたといってよいでしょう。

医師を怒らせたとき、最もしてはいけない行動が「そのまま関係を遮断する」ことです。

MRにとって、あまり関係のよくない医師と連絡遮断すると簡単にストレスを遠ざけることができます。ただ、関係を遮断した時点でそれまで先輩MRたちが築き上げてきた病院・クリニックとの関係を切り去ってしまうことを理解しなければいけません。

医師としても、「あのメーカー担当者は少し怒っただけで関係を切ろうとするのか」と考えるようになります。そうなると、より関係が悪くなっていきます。

こうした事態を避けるため、誠意をもって何度も謝りにいくようにしましょう。

出入り禁止を言い渡されたらどうするべきか

ただ、より厄介なものとして「出入り禁止」があります。怒らせただけであれば謝ればいいものの、一方的に出入り禁止を言い渡されたらどのように対処すればいいのでしょうか。

非常に些細なことであっても、こちらにまったく非がなかったとしても、出入り禁止を言い渡されることがあるのは事実です。

そもそも、なぜ出入り禁止になるのでしょうか。これは相手を怒らせることにも関係していますが、例えば以下のようなケースがあります。

時間泥棒をしている

医師を怒らせるようなことをしているつもりがなかったとしても、出入り禁止になることがあります。その代表的なものが時間泥棒です。要は、自社製品にとって都合の良い話ばかりを一方的にするのです。

医師にとって、製品の良い部分だけをアピールしてくるMRと話をするのは時間の無駄です。

例えば、あなたが車を購入するときに「この車は燃費が1Lあたり○kmで、馬力は△△、さらには車高が……」のように性能の話ばかりをされても意味が分からないはずです。これと同じように、薬の特長ばかり話をされても時間の無駄なのです。

そのため、医師が「あなたと会話をする価値がない」と感じた場合、出入り禁止にすることがあります。

院内のルールを破った

よくありがちなのは、「病院やクリニックが独自に設けているルールを破ったために出入り禁止になった」というようなことです。

得意先によって訪問時間や面会方法、業者の出入り口など細かいルールが決められています。こうしたルールを破ってしまったのを見つかったとき、出入り禁止を言い渡されることがあります。

例えば、病院やクリニックの駐車場は「院内」の一部だといえます。ここでクラクションを鳴らしてはいけませんし、患者さんが駐車するスペースなのでMRは最も遠い場所に車を止める必要があります。

また、病院内のエレベーターは本来は患者さんが活用するものです。高層階であれば仕方ありませんが、基本的にはMRは階段を使うのがマナーです。患者さんを第一優先に考えることを忘れて医師に怒られた場合、些細なことであってもルールを守れていないMR側に非があります。

相手を否定してしまった

ただ、こちらにまったく非がなく医師の行動に大きな問題があるケースはあります。そうしたとき、相手を否定すると仲が悪くなることがあります。ただ、医師の行動が明らかに悪かったとしても相手を否定しないようにしましょう。

例えばかつて、出入り禁止を言い渡されたわけではないものの、医師との仲が非常に悪くなり、その医師を訪問しなくなった同僚MRがいました。その理由を聞いてみたところ、タクシーチケットが問題だったようです。

医師を講演会に招待するときなど、タクシーチケットを渡すことがあります。このときのタクシーチケットは当然ながら、当日(講演会のある日)しか使えません。ただ、その医師はプライベートの日にタクシーチケットを使ったそうです。

このとき、同僚MRは医師に対して「渡したタクシーチケットをプライベートで利用するのはやめてほしい」と言ったようです。そうすると医師を怒らせてしまい、そこから関係が疎遠になってしまいました。

今回は医師側に100%の非があるケースですが、こうした場合であっても伝え方に気を付ける必要があります。

ちなみに、私の営業所にはトップ成績を残しているMRの先輩がいたのでこのことを話すと、「自分なら1~2回くらいならタクシーチケットの不正利用を見逃す。ただ、社内で『あの医師にタクシーチケットを渡してはいけない』などのようにブラックリストに載りそうな場合、先生にそのことをにおわせて気づかせるようにする」といっていました。

相手の行動を否定すると怒ってしまいますが、医師の行動が間違っていることを自ら気づかせるようにMRは修正しなければいけません。

出入り禁止を受けたときの対処法

しかしながら、医師を怒らせて出入り禁止を既に言い渡されてしまったのであれば、いくら上記のことに注意しても仕方がありません。まずは、関係の修復を急ぐ必要があります。

出入り禁止とはいっても、その程度によります。医師の時間泥棒をしたために出入り禁止になった場合、あなたの営業活動方法を根本的に見直す必要があります。

それらを変えたうえで、「注意してくださったおかげで、医師の先生方にどのように貢献すればいいのかを考えるようになり、結果として営業成績が向上しました」と感謝の言葉を述べるようにしましょう。それを伝えれば、むしろ出入り禁止を言い渡した医師はあなたを歓迎してくれるようになります。

それに対して医師側に非があり、その行動を否定して怒らせてしまった場合、ひたすら謝る必要があります。相手も「自分が悪いことをしている」ことは理解しているため、誠意をもって対応すれば分かってくれます。

難しいのは、院内のルールを破ったなどあなたに非があるケースです。この場合、チームを組んで関係修復に当たったり、担当を変えてもらったりと関係修復には時間が必要です。

例えば他社のMRの事例になるのですが、院内ルールを破って出入り禁止になった人がいました。その開業医は電話が嫌いであり、「医師へ電話をかけてはいけない」というルールがありました。ただ、MRは診療所に電話をかけて「今回、糖尿病の薬が適応追加になるので、その話をするために伺わせていただきたいです」という内容のアポイントを入れようとしたそうです。

ただ、電話が禁止にも関わらずテレアポをしたため、そのメーカーMRは医師を怒らせてその日に出入り禁止になってしまいました。たかが電話ですが、これについてはルールを守らなかったMRが悪いといえます。

その後、出入り禁止になったMRの上司が謝罪に向かったのですが、その上司まで出入り禁止になってしまいました。

また、製薬会社は医薬品卸と共同して製品のPRを行います。そのため、「出入り禁止になったMRが所属する製薬会社」と最も密な協力関係にある医薬品卸にまで飛び火していました。そのクリニックを担当している医薬品卸MS(医薬品卸の営業職)まで出入り禁止になっていたのです。

医薬品卸MSの担当者は「何で自分まで……」といっていましたが、気難しい医師ではこういうケースもあるのだと私は学びました。

そうはいっても、医薬品卸は「薬を届ける」という流通に関わるため、医薬品卸MSまで出入り禁止にすると困るのはクリニック側です。

そのため、最初は出入り禁止を言い渡したクリニックへ医薬品卸の支店長が薬を配達していましたが、一週間ほど経つと医薬品卸MSの出入り禁止は解除され、担当のMSは普通に出入りするようになっていました。

また、医薬品卸MSを介して対応した結果、出入り禁止を食らったMRも2ヶ月後には問題なく医師と面会できるようになっていました。

嫌いな先生への対処法

怒られたり出入り禁止を命じられたりするのは、非常にストレスが大きいです。どれだけメンタルの強いMRであっても落ち込んでしまうことでしょう。

こうしたとき、先生との関係を切って訪問しなければ非常に楽です。ただ、その医師がキードクターであったり売上の大きい得意先であったりする場合、逃げるわけにはいきません。どれだけ相性が合わない嫌いな先生であったとしても、営業職である以上は関係修復を試みる必要があります。

それでは、嫌いであったり苦手であったりする医師に対してはどのように対処すればいいのでしょうか。

まず、あなたがビクビクしていたり、嫌いに思っていたりする場合、そのときの感情はすべて相手に伝わります。こうした気持ちは言葉や態度に無意識に表れるものです。

これを解決する方法は「あなたが相手のことを好きになる」ことがあります。

もちろん、苦手に感じている先生のことをいきなり好きになるのは難しいです。ただ、それでもMRである以上は相手を好きになる必要があります。

どれだけ気難しい医師であったとしても、探せば他の人よりも優れている点が必ず見つかります。相手を嫌いだと考えていれば、悪いことにしか目がいきません。そこで何とかして相手の良い部分を探して、「相手が素晴らし医師である」ように自分自身に暗示をかけるようにしましょう。

そのための第一歩として、相手医師のことを知る必要があります。「家族構成はどうなっているのか」「研究テーマはなにか」「休日は何をして過ごしているのか」などです。

そうして相手に興味をもっていると、例えばまだ年齢の小さな娘がいて溺愛していることを知り、そこから話が盛り上がって心を許せる仲になるかもしれません。いずれにしても、相手に興味関心を示して誠意をもって対応することが、苦手な医師を攻略するコツです。

前任者から関係が途絶えている場合はチャンスである

なお、苦手な医師とはいっても、あなたの前任者に責任があることがあります。前任者が出入り禁止を受けたため、病院やクリニックとの関係が疎遠になってしまったというケースです。

この場合、前任者からは引継ぎのときに「あの病院は微妙だ」などのようにいわれるかもしれませんが、それを鵜呑みにしてはいけません。そうしたとき、あなたが再びその病院やクリニックの医師と信頼関係を構築すればいいのです。

そうすれば、「前の担当者はまったく顔を出さなかったが、お前はよく頑張っているな」と思ってくれるようになります。もちろんゼロの状態から関係を作っていくので簡単ではありませんが、新たな得意先で大きな売上を作るチャンスだといえます。

このように、医師を怒らせてしまったり出入り禁止を宣言されたりしたときの考え方や対処法について考えてきました。医師を怒らせた内容によって対処法は異なるものの、すべてに共通しているのは「言い訳や弁解をせず、誠意をもってひたすら謝罪する」ことです。

気難しい医師とはいっても、それは他メーカーに対しても同じです。条件は同一なので、そうした中でどれだけ医師の心を掴むのかがMRにとって重要です。

叱られるのはストレスが大きいです。ただ、相手に叱られるのは営業職では避けて通ることができない過程だといえます。ここをしのぐことができれば、相手との距離も近くなって営業職としてより大きな実力を身に着けることができます。


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